確定申告って何?仕組みや申告の流れを初心者にもわかりやすく解説
確定申告は、手続きが複雑で難しいものというイメージを持たれがちです。そこで本記事では、確定申告の意味や仕組みをはじめ、申告から納付までの流れをわかりやすく解説します。最後まで読むことで、自分に合った確定申告の方法を選べるようになるでしょう。
Supervisor監修者
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2級FP技能士一谷千春
大手生命保険の営業を5年間経験し、FP2級を取得。現在は金融ライターとして資産運用、保険、節税に関する記事を執筆。200記事以上を手掛け、読者に信頼される情報提供を目指す。金融業界の知識と実務経験を活かし、わかりやすく実践的な内容を提供。
確定申告の基本
まずは確定申告の基礎知識をわかりやすく解説します。
確定申告って何?
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に得た所得をもとに、国に納めるべき所得税額を計算し、確定させるための手続きです。計算の結果、所得税を払い過ぎていた場合は還付を受けられ、不足している場合は追加で納税する仕組みとなっています。
令和7年分の確定申告期間は、令和8年2月16日から3月16日までです。申告期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税などのペナルティが科される可能性があるため、期限内に申告・納付を行うよう注意しましょう。
会社員の「年末調整」との違い
会社員の場合、勤務先の会社が本人に代わって所得税の計算や申告、納付を行います。この手続きを年末調整といいます。年末調整は、毎年12月から翌年1月頃に実施されるのが一般的です。
一方、確定申告とは、納税者自身が1年間の所得を計算し、所得税の申告および納付を行う手続きのことを指します。つまり、手続きを行う主体が「会社」か「個人」かという点が、確定申告と年末調整のもっとも大きな違いです。
確定申告の対象者
ここからは、確定申告の対象者をわかりやすく解説します。
年間所得が95万円以上あるフリーランス
1月1日から12月31日までの所得が95万円を超えるフリーランス・個人事業主は、原則として確定申告の対象者です。これは、所得税における基礎控除が95万円と定められているためです。
年間の所得が95万円以下であれば、基礎控除の範囲内に収まるため、所得税の確定申告は原則として不要となります。そのため、フリーランスの場合は「所得95万円超が確定申告のボーダーライン」と覚えておくとよいでしょう。
なお、副業の場合は扱いが異なります。会社員など給与所得がある人は、本業以外の所得が20万円を超えた場合に、確定申告が必要です。
年間収入が2,000万円以上ある人
会社員や役員などの給与所得者であっても、年間収入が2,000万円を超える場合は、確定申告をする必要があります。
2,000万円を超えると、会社で行う年末調整の対象外となるため、個人で確定申告をしなければなりません。
公的年金の受給額が基準を超えている人
年金は雑所得となり、所得税や住民税の対象になります。
年金受給者の負担減のために、確定申告不要制度が設けられていますが、受給額が基準を超えている人は、確定申告をしなければなりません。
- 公的年金の受給額が年間400万円を超える人
- 年金以外の所得が20万円を超える人
両方、またはどちらか一方に当てはまる人は、確定申告の対象者です。
【初心者向け】確定申告の流れ
確定申告の基礎知識を理解したところで、ここからは確定申告の流れや手順を確認していきましょう。
青色申告か白色申告かを選択する
確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2つの申告方法があります。どちらを選ぶかによって、準備する書類や記帳方法、受けられる控除の有無などが異なります。それぞれの違いをわかりやすく表にまとめましたので、自分に合った申告方法を選ぶ際の参考にしてください。
なお、青色申告は控除額の種類(10万円・55万円・65万円)によって要件が異なる項目があります。該当する控除額にも注目しながら確認してみましょう。
|
青色申告(55万円控除・65万円控除) |
青色申告(10万円控除) |
白色申告 |
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節税効果 |
◯ |
△ |
× |
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提出書類 |
・確定申告書 |
・確定申告書 |
・確定申告書 |
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記帳方法 |
複式簿記 |
単式簿記 |
単式簿記 |
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事前申告 |
必要 |
必要 |
不要 |
それぞれの仕組みをわかりやすく解説します。
青色申告
青色申告は、一定の要件を満たすことで最大65万円の青色申告特別控除を受けられる、節税効果の高い申告方法です。要件の充足状況に応じて、65万円・55万円・10万円のいずれかの控除額が適用され、所得から差し引くことができます。
青色申告の主なメリットとして、家族に支払った給与を全額経費にできる点や、事業の赤字を最長3年間繰り越せる点が挙げられます。そのため、「しっかり節税したい人」や「開業したばかりで事業成績に不安がある人」にとって、大きなメリットのある制度といえるでしょう。
一方で、青色申告は複式簿記による記帳が必要となるため、白色申告に比べて帳簿付けの手間がかかる点には注意が必要です。
また、青色申告を行うには、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。原則として申告を行う年の3月15日まで、開業した年については開業日から2ヵ月以内に、所轄の税務署へ提出しましょう。
白色申告
白色申告の魅力は、青色申告と比べて帳簿付けが簡単な点です。記帳方法は単式簿記で、記入項目が少ないのが特徴です。そのため、会計の基礎知識に自信がない人や、確定申告をできるだけわかりやすく、手軽に進めたい人に向いています。
また、青色申告のように事前に申請書を提出する必要がない点も、白色申告のメリットです。「開業から〇ヵ月以内に手続きをしなければならない」といった決まりがなく、初心者でもスムーズに取り組めます。
一方で、白色申告は青色申告特別控除が適用されず、赤字の繰り越しもできません。そのため、節税効果は限定的で、青色申告と比べると税負担が大きくなる可能性があります。
必要書類を準備する
続いては、必要書類の準備について確認していきましょう。確定申告では、確定申告書に加えて、本人確認書類や収入・所得がわかる書類などを用意する必要があります。全体の流れを意識しながら、準備を進めていきましょう。
確定申告書
1つ目は確定申告書です。確定申告書は、次の5つの方法で受け取れます。
- 国税庁公式サイトからダウンロードする
- 税務署で受け取る
- 申告相談会や確定申告担当窓口で受け取る
- 税務署に郵送してもらう
- 確定申告ソフト・アプリを活用する
マイナンバーカード
本人確認書類として、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードを持っていない場合は、「番号確認書類」と「本人確認書類」を1点ずつ準備しましょう。
- 通知カード(氏名・住所などに変更がない場合)
- 個人番号の記載がある住民票の写し、または住民票記載事項証明書
- 運転免許証
- 被保険者証
- パスポート
- 身体障害者手帳
- 在留カード
なお、マイナンバーカードがあれば2点用意する必要がないため、もっとも手軽に準備できます。
控除証明書
確定申告で社会保険料控除や生命保険料控除、地震保険料控除などの各種控除を利用する場合は、それぞれの控除証明書を準備する必要があります。控除証明書を添付または提示し、証明書の内容に基づいて各控除欄を記入しましょう。
収入額を証明できる書類
確定申告書を作成する際には、1年間の収入額を記入する必要があります。そのため、収支内訳書や青色申告決算書など、収入の内容が確認できる書類をあらかじめ手元に準備しておきましょう。
確定申告書を作成する
確定申告書の主な作成方法は、次の4つです。ここからは、それぞれの方法を一つずつわかりやすく解説しますので、自分に合った作成方法を見つけてください。
確定申告ソフト・アプリ
1つ目は、確定申告ソフトやアプリを活用して作成する方法です。画面の案内に沿って入力するだけで申告書を作成できるため、場所や時間を選ばず作業できる点が魅力です。
操作も比較的わかりやすく、入力ミスの防止や自動計算機能も備わっているため、忙しい人や確定申告に不慣れな人にもおすすめの方法といえるでしょう。
確定申告書等作成コーナー
2つ目は、国税庁の公式サイトで利用できる「確定申告書等作成コーナー」です。画面の質問に沿って回答していくだけで、所得金額や税額を自動で計算してくれます。
無料で利用でき、特別なソフトをインストールする必要もないため、確定申告の基礎知識がない人や初心者にもおすすめの方法です。
確定申告フォーマット
確定申告フォーマットを国税庁の公式サイトからダウンロード・印刷し、手書きで記入する方法もあります。
ソフトやアプリの操作に苦手意識がある人にとって取り組みやすい方法ですが、記入や計算をすべて自分で行う必要があるため時間がかかりやすい点には注意が必要です。提出期限に余裕をもって、早めに取りかかりましょう。
代行依頼
4つ目は、税理士などの専門家に確定申告を代行依頼する方法です。必要書類を提出するだけで、申告書の作成から提出までを任せられる点が大きなメリットといえます。
一方で、依頼内容に応じた報酬が発生するため、費用面を考慮したうえで利用を検討することが大切です。申告内容が複雑な場合や、正確性を重視したい人に向いている方法といえるでしょう。
確定申告書を提出する
続いての手順は、確定申告書の提出です。確定申告は、原則として毎年3月15日前後が提出期限となっているため、期限内に必ず提出しましょう。
提出が遅れると、加算税や延滞税が発生する可能性があるため、余裕をもって手続きを進めることが大切です。
税務署へ持参する
もっともシンプルな方法は、税務署へ直接持参して提出する方法です。提出時に必要書類の確認や記載内容の不備をチェックしてもらえる場合があるため、確定申告が初めての人でも安心して手続きできます。
ただし、申告期限が近づくと窓口が混雑しやすいため、時間に余裕をもって出向くことが大切です。
e-Tax(電子申告)
e-Tax(電子申告)の魅力は、要件を満たすことで最大65万円の青色申告特別控除が適用される点と、手続きの手軽さです。
インターネット環境があれば、自宅にいながら確定申告の作成から提出まで完結できるため、忙しい人や税務署へ行く時間が取りにくい人にも適した方法といえるでしょう。
郵送
3つ目の方法は、確定申告書を税務署へ郵送する方法です。税務署へ出向く必要がなく、書類を封筒に入れてポストへ投函するだけで提出できる点がメリットです。
ただし、郵送の場合は提出期限までに税務署へ到着している必要があります。期限直前は郵便の遅延が起こる可能性もあるため、余裕をもって早めに投函しましょう。
所得税を納付する
最後に、所得税の納付方法について確認していきましょう。
銀行口座から自動引き落とし
一度手続きを行えば、指定した銀行口座から自動で引き落としされる仕組みのため、納付忘れを防ぐことができます。
手間をかけず、確実に所得税を支払いたい人にとって、安心して利用できる有効な納付方法といえるでしょう。
インターネットバンキング
インターネットバンキングによる納付は、Pay-easy(ペイジー)を利用して行う方法です。手続きは、次の流れで進めます。
- 金融機関でインターネットバンキング利用の手続きをする
- 登録方式または入力方式を選択する
- 表示されたコードを利用して納付する
インターネット環境があれば、確定申告の作業から納付までをすべて自宅で完結できるため、非常に利便性の高い納付方法といえるでしょう。
クレジットカード
クレジットカード納付は、国税クレジットカードお支払サイトを利用して所得税を支払う方法です。一括払いだけでなく分割払いも選択できるため、納税時の資金負担を調整しやすい点が特徴です。納付税額によって決済手数料がかかる点に注意しましょう。
スマホアプリ
e-Taxを経由して国税スマートフォン決済専用サイトにアクセスし、納付手続きを行うのが一連の流れです。「できるだけ多くの人にデジタルで手続きを完結してもらう」ことを目的に、e-Taxに集約された点が特徴で、利便性が大きく向上した納付方法といえるでしょう。
コンビニ納付
国税庁から発行されたQRコードをコンビニエンスストアの端末に読み込ませ、現金で納付する方法です。1件当たりの利用可能額が30万円以下という条件がありますが、買い物のついでに手続きできるため、銀行や税務署へ行く時間が取りにくい人でも、手軽に納付を済ませやすい方法といえるでしょう。
金融機関や税務署で現金納付
金融機関や税務署の窓口へ出向き、納付書を添えて現金で支払う方法が一般的です。なお、窓口ではクレジットカードは利用できないため、現金を用意したうえで手続きしましょう。
まとめ
確定申告は難しそうに感じられがちですが、基本的な仕組みと手順を理解すれば、初心者でも無理なく対応できます。作成方法や提出方法、納付方法には複数の選択肢があるため、自分のライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。期限に余裕をもって準備し、正しく手続きを進めましょう。
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