
クラウドファンディングとは?メリットやデメリット、やり方などをわかりやすく説明
クラウドファンディングという言葉自体は聞いたことがあっても、正確な意味や仕組みまで知らないという方もいるかもしれません。今回の記事では、クラウドファンディングについて、歴史やメリットやデメリット、やり方といった基本的な知識を解説します。
クラウドファンディングとは

最初に、クラウドファンディングとは何かについて解説します。クラウドファンディングの歴史についても触れるので、今後活用を検討する場合はぜひ参考にしてください。
インターネットを介して複数の人から資金調達をする
クラウドファンディングとは、群衆を意味する「クラウド」と資金調達を意味する「ファンディング」を組み合わせた造語です。「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ金銭を調達すること、もしくはそのような場を提供するサービス」を指すと考えましょう。
日本では東日本大震災をきっかけにクラウドファンディングが普及
クラウドファンディングは、もともとアメリカで始まったサービスです。2008年にリーマン・ショックが発生したことで大規模な不況に突入し、投資家から出資を募るのが難しくなりました。
そこで、新たな事業資金調達の手段として、クラウドファンディングが開発されました。大手サービスの「indiegogo」は2008年に、競合といえる「kickstarter」は2009年にサービスを開始し、その後も多数のサービスがリリースされています。
一方、日本では2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、クラウドファンディングが普及しました。同年3月29日に日本初のクラウドファンディング「READYFOR」がサービスを開始し、その後、競合に当たる「CAMPFIRE」もサービスを開始しています。
クラウドファンディングの種類とは

一口にクラウドファンディングといっても、資金や支援者へのリターン(特典、返礼品)のあり方によって、種類が細かく分かれます。ここでは、6種類のクラウドファンディングについて詳しく解説します。
種類によって、何のためにやるのか、返礼品はあるのかなど差があるため、種類ごとの違いを理解しておきましょう。
購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングとは、公開されたプロジェクトにおける事業や活動、商品に興味を持った人が支援し、その見返りに商品・サービスを受け取るクラウドファンディングのことです。
商品・サービスを受け取ることが前提の仕組みであるため、金銭的なリターンは受け取れません。
寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングとは、公開されたプロジェクトに興味を持った人が、その事業・活動を支援すべく金銭を寄付する形のクラウドファンディングを指します。
街頭やインターネット経由で行う寄付と同じで、見返りとして商品やサービスを受け取ることはありません。ただし、プロジェクトによっては支援対象者からのレポートや手紙、写真やメールなど、あくまで礼状の範ちゅうに収まる種類の返礼品を受け取れることはあります。
融資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディングとは、資産運用を希望する個人投資家から少額ずつ金銭を集め、資金を調達したい事業者に融資する仕組みのクラウドファンディングを指します。
運用期間が定められており、期間が終了すると元本および分配金が個人投資家に償還されるのが一般的な流れです。なお、日本では「ソーシャルレンディング」と呼ばれることも多く、あわせて覚えておきましょう。
株式投資型クラウドファンディング
株式投資型クラウドファンディングとは、個人投資家から事業資金を募る際に見返りとして非公開株を提供するクラウドファンディングのことです。あくまで株式を発行していることが大前提となるため、事実上株式会社以外は行えません。
ファンド型クラウドファンディング
ファンド型クラウドファンディングとは、特定の事業・活動に対し、個人投資家から出資を募る仕組みのクラウドファンディングを指します。
個人投資家は、ファンドが行う事業・活動から得られた売上等の成果、出資額に応じて金銭的なリターンを受け取ることが可能です。ただし、投資信託と同様、投資の成果に応じて受け取れる金銭的なリターンも上下する点に注意しなくてはいけません。
なお、ファンドによっては事業・活動で生み出された商品、サービスの現物が提供されたり、割引などの優待が受けられたりすることがあります。
ふるさと納税型クラウドファンディング
ふるさと納税型クラウドファンディングとは、「子育て支援」など、自治体が自らの課題をプロジェクトとして公開し、共感した人がふるさと納税によって寄付を行うクラウドファンディングを指します。
プロジェクトを選んでお金を出す流れは他のクラウドファンディングと同じですが、ふるさと納税の仕組みを使うため、所得税の還付や住民税の控除を受けられるのが大きな違いです。
クラウドファンディングのメリットとは

ここで、クラウドファンディングのメリットを5つ解説します。
誰でも簡単かつ迅速に資金調達ができる
1つ目のメリットは「誰でも簡単かつ迅速に資金調達ができる」ことです。銀行など金融機関から融資を受ける場合、審査に通過しないと利用できないなどの制約があります。
一方、クラウドファンディングにはそのような制限がなく、基本的には誰でも使うことが可能です。ただし、プロジェクトの内容が公序良俗上ふさわしくないと判断されたなど、一定の理由があれば使えないことはあり得ます。
調達した資金を返済する必要がない
2つ目のメリットは「調達した資金を返済する必要がない」ことです。銀行などの金融機関から融資を受けた場合、期限が来たら返済する必要があります。事業において思うように成果が上がっていない場合は、返済ができないといった深刻なトラブルも起こり得ます。
一方、クラウドファンディングで調達した資金は、基本的に返済する必要はありません。ただし、融資型、ファンド型など一定期間後に元金の償還、返済が前提となっているものもあります。
失敗しても手数料がかからない
3つ目のメリットは「失敗しても手数料がかからない」ことです。クラウドファンディングのサービスにより細かい部分は異なりますが、基本的には支援金を受け取るタイミングで手数料がかかる仕組みになっています。
厳密には「成立」と判断する形式の違いで、手数料のかかり方も違う点に注意してください。
形式 | All in方式 | All or Nothing方式 |
概要 | 1円でも支援が集まれば「成立」と判断され、支援金を受け取れる | 目標金額を達成して初めて「成立=成功」と判断され、支援金を受け取れる |
手数料発生タイミング | 成立したら手数料が発生する(つまり支援金が1円でも手数料は払わないといけない) | 目標金額を達成すると、手数料が発生する(つまり失敗したら手数料はかからない) |
商品やサービスの宣伝にもなる
4つ目のメリットは「商品やサービスの宣伝にもなる」ことです。クラウドファンディングの返礼品として商品やサービスを提供する場合、興味を持ってくれた人がSNSで広めてくれたり、周囲の人に薦めてくれたりすることも考えられます。
ある意味、無料で宣伝ができることになるため、広告費に予算をかけられない場合でも商品・サービスの魅力を広めることができるかもしれません。
商品・サービスの改良の参考になる
5つ目のメリットは「商品・サービスの改良の参考になる」ことです。プロジェクトを公開すると、クラウドファンディングの返礼品として提供する商品、サービスに対し意見が寄せられることがあります。
その意見には、商品・サービスの改良の参考になるヒントが隠れていることがあります。しっかりとチェックして、可能なところから改良に活かしていきましょう。
クラウドファンディングのデメリットとは

一方、クラウドファンディングにもデメリットがあります。ここでは具体的なデメリットを5つ解説します。
資金調達自体ができない可能性がある
1つ目のデメリットは「資金調達自体ができない可能性がある」ということです。「All or nothing」形式でプロジェクトを公開した場合、目標金額に到達しないと1円も資金調達はできません。
資金調達自体ができず、予定していた活動や事業に着手できない恐れがある点に注意しましょう。
プロジェクト内容の変更・中止は基本的にできない
2つ目のデメリットは「プロジェクト内容の変更・中止は基本的にできない」ということです。
ほとんどのクラウドファンディングサービスでは、プロジェクト開始後の内容の変更・中止を禁止しています。変更・中止前に支援した人とそうでない人の間で不公平が生じる可能性があるためです。そのため、仮に「想定外に支援が集まった」「見積もりミスで支援者が集まるほど赤字が膨らむ」などのトラブルがあったとしても、責任は自分で負わないといけません。
想定外のトラブルが起きないよう、事前にしっかり計画を立てておきましょう。なお、クラウドファンディングサービスによっては、メイン画像や概要文、リターンの追加など、変更が部分的に認められているケースもあります。
プロジェクトを公開する前に、それぞれのサービスの規約をよく確認しましょう。
状況によっては赤字になることがある
3つ目のデメリットは「状況によっては赤字になることがある」ということです。「All in」形式でプロジェクトを公開した場合、1円でも支援が集まれば資金調達ができます。
一見よいことのように思えますが、プロジェクトによっては少額の支援金では赤字になることもあるでしょう。「All in」形式を使いたい場合は、少額の支援金でも赤字にならないなど、何らかのプラス要素があるか考えてから実行することが重要になります。
ある程度の支援金が集まらないと黒字化が難しいプロジェクトの場合は、「All or Nothing」形式を選びましょう。
情報発信に長けていないと成功しづらい
4つ目のデメリットは「情報発信に長けていないと成功しづらい」ことです。クラウドファンディングで資金調達をする場合、プロジェクトをどれだけ知ってもらえるかが成功を左右します。
家族や友人、知人からの支援だけでは頭打ちになる以上、SNSやブログ、Web広告などを活用して情報発信をしないと成功は難しいのも事実です。興味を持ってくれそうな人を引き付けられるよう、情報発信を行わないといけません。
アイデア、コンセプトを盗用される恐れがある
5つ目のデメリットは「アイデアを盗まれるリスクがある」ことです。購入型クラウドファンディングを通じて商品・サービスを提供する場合、その商品・サービスのアイデアが盗用されるリスクがあります。
盗用の結果、類似品や上位互換品が出回ると、自分たちの商品・サービスが売れなくなりかねません。特許や商標などの法的保護を受けていない場合はさらに注意が必要なので、事前に弁護士や弁理士などの専門家に相談し、対策を講じておきましょう。
クラウドファンディングのやり方とは

ここで、クラウドファンディングの基本的な流れについて「起案者側」「支援者側」に分けて解説します。
起案者として使う場合の流れ
クラウドファンディングを起案者=資金を募集する側として使う場合の流れは、以下のようになります。
- プロジェクトを立案する
- プロジェクトのページを作成する
- クラウドファンディングサービスによる審査を受ける
- 問題がなければプロジェクトを公開し、寄付を募る
支援者として使う場合の流れ
クラウドファンディングを支援者として使う場合の流れは、以下のようになります。
- クラウドファンディングサービスの会員登録をする
- 支援したいプロジェクトを探す
- プロジェクトが決まったら必要事項を入力する
- クレジットカードなどで支援金額を支払う
まとめ

クラウドファンディングは個人であっても利用できる資金調達手段として、日本でも市民権を得てきました。しかし、プロジェクトを成功させるのは決して簡単ではないため、経験者やクラウドファンディングサービスの担当者とも話し合いながら使うのが良いでしょう。
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