
【初心者向け】ふるさと納税のやり方をわかりやすく解説!仕組みや手続きを知っておこう
ふるさと納税は、特定の自治体に寄附をすると返礼品がもらえて、所得税や住民税の控除が受けられる制度です。数年前から有名な制度ですが「やり方がわからない」「なんとなく難しそう」という理由からなかなか踏み出せない方もいるのではないでしょうか。この記事では、ふるさと納税のやり方を初心者向けに解説します。ふるさと納税のメリットやデメリットについてもご紹介するので、初心者の方はぜひチェックしてみてください。
ふるさと納税とはどんな制度?

「ふるさと納税」は2008年の税制改正により導入された制度の一つです。
最大の特徴は、自分の応援したい地域や自治体を選んで寄附することで、肉や魚、米といった食品や、生活雑貨などの返礼品をもらえることです。同時に、寄附した額のうち2,000円を超える部分の所得税や住民税の控除が受けられます。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税の基本的な仕組みは以下の通りです。
- 自分や家族の故郷など任意の自治体に寄附をする
- 寄附金額に応じて各自治体の返礼品をもらえる
- 寄附金額から2,000円を超えた分に対し、所得税および住民税の控除が受けられる
一言でまとめると「実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取れる」のが基本的な仕組みといえます。
ただし、収入に応じて所得税および住民税の控除額には限度額が定められているため、その範囲内でふるさと納税をするのが現実的です。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税には、以下のようにさまざまなメリットがあります。
- 実質2,000円でお礼の品がもらえる
- 応援したい自治体に寄附ができる
- 住民税と所得税が控除される
- 寄附金の使いみちを指定できる
先ほども触れましたが、ふるさと納税の最大の魅力は、返礼品をもらえると同時に所得税と住民税の控除が受けられることです。今まで通り税金を納めても何も戻らないのに対し、ふるさと納税では寄附金の最大3割の返礼品がもらえるため、納税対策の一つとしても注目を集めています。
また、自治体によっては寄附金の使いみちを指定することが可能です。
例えば、栃木県宇都宮市の場合、ふるさと納税で集まった資金を以下の事業を推進する資金として活用することを明らかにしています。
- 子どもの健全育成事業
- 障がい者の自立支援事業
- 高齢者の健康・生きがいづくり事業
- 地域の防災・防犯環境整備事業
- 環境にやさしいまちづくり推進事業
- 農業王国うつのみや推進事業
- 芸術文化の振興・文化財の保存活用事業
- 中心市街地活性化事業
- 総合的な交通ネットワーク構築事業
- 市政全般
ふるさと納税のデメリット
ふるさと納税には、以下のようなデメリットもあります。
- 手続きの手間がかかる
- 税金が減るわけではない
- 他自治体へ税収が流出する
ふるさと納税には手続きの手間がかかります。具体的な手続きについては後述しますが、慣れていないと煩わしさを感じる可能性があります。
また、ふるさと納税をしても自分が払うべき税金が減るわけではありません。確かに所得税・住民税は控除されますが、実際は納税先となる自治体が変わるだけです。払わなくてはいけない税額が変わらない点には注意しましょう。
自分が住んでいる自治体の税収が他の自治体に流出してしまう点もデメリットの一つです。本来、住民税は自分が住んでいる自治体に納めなくてはいけません。しかし、他の自治体への寄付率が高くなると、自分が住んでいる自治体の税収が減ってしまいます。
自分が住んでいる自治体の税収が減り続けると、行政サービスの貧弱化につながりかねません。「お世話になった方がいる」「自分や家族の故郷」など、どうしても応援したい理由がある自治体のみの寄附にとどめるなど、節度を持った利用が望ましいでしょう。
【初心者必見】ふるさと納税の基本的なやり方6ステップ

ここから先は、初心者向けにふるさと納税の基本的なやり方について6つのステップを踏んで解説します。これまでまったくふるさと納税をしたことがない初心者の方でもわかりやすいよう、やり方をていねいに解説するのでぜひ参考にしてください。
- 控除上限額を確認する
- 寄附したい自治体と返礼品を選ぶ
- 自治体から必要書類と返礼品を受け取る
- 税金控除の手続きに必要な書類を準備する
- 税金控除の手続きを行う
- 税金の還付が確認できたら完了
①控除上限額を確認する
ふるさと納税の基本的なやり方の1ステップ目は「控除上限額を確認する」ことです。ふるさと納税では所得税・住民税の控除を受けられますが、具体的な金額は家族構成・年収などさまざまな条件により異なります。
特に初心者の方は、寄附をする前に自分ならいくらまで控除を受けられるのか、金額をシミュレーションしておきましょう。総務省がシミュレーターを公開しているので、ぜひ使ってみてください。
より正確な金額を知りたい場合は、お住まいの自治体や税理士に相談するのがおすすめです。
②寄附したい自治体と返礼品を選ぶ
続いて、寄附したい自治体と返礼品を選びましょう。自治体や利用するポータルサイトにより、用意されている返礼品は異なります。例えば、「食費を節約したいからストック用のお米が欲しい」というように、返礼品から寄附をする自治体を選ぶこともできます。
- 肉
- 海産物
- 米・野菜などの農産物
- インスタントラーメンなどの加工食品
- スイーツ・お酒などの嗜好品
- トイレットペーパーなどの生活雑貨
- ホテル等の宿泊券
- 舞台のチケット
- ゴルフ場の利用券
中には「お墓の掃除代行サービス」や「農作業体験プランなどのアクティビティ」など、ユニークな返礼品を設けている自治体もあります。
寄附する自治体と返礼品を選んだら、ポータルサイトから手続きを進めましょう。具体的な操作のやり方はポータルサイトによって多少異なります。しかし、難しい操作はほとんどなく画面の指示に従って進めるだけなので、初心者でもそこまで心配する必要はありません。
③自治体から必要書類と返礼品を受け取る
ポータルサイトからの申し込みが完了すると、後日自治体から必要書類と返礼品を受け取れます。内容に問題がないかを確認し、問題があれば申し込みをしたポータルサイトに問い合わせましょう。
なお、この際に受け取る「寄附金受領証明書」は、税金の控除を申請する際に非常に重要な書類です。万が一なくしてしまった場合は、早い段階で再発行の申請をしましょう。
④手続きに必要な書類を準備する
続いて、手続きに必要な書類の準備を進めます。確定申告を行う場合、事前に以下の書類を用意しておきましょう。
- マイナンバーカード(個人番号カード)または番号確認書類と身元確認書類
- 所得税および復興特別所得税の確定申告書
- 寄附金受領証明書
- 対象の年の源泉徴収票または収入がわかる書類
- 銀行口座番号がわかるもの(還付がある場合)
なお、後述する「ワンストップ特例制度」を利用する方は、確定申告が必要ありません。代わりに、返礼品を受け取る際やポータルサイトからダウンロードできる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」が必要になるため、忘れずに用意しましょう。
⑤税金控除の手続きを行う
税金控除の手続きも欠かさず行いましょう。ふるさと納税をしただけでは、寄附金控除は受けられません。確定申告をするか、ワンストップ特例制度の申請をするかのいずれかが必要になります。
ワンストップ特例制度
「ワンストップ特例制度」とは、一定の条件を満たせば確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる制度です。この制度を使うためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 会社員など、勤務先で年末調整を行うため確定申告が不要である
- 1年間での寄附先が5自治体以内に収まっている
なお、ワンストップ特例制度を利用したい場合は、寄附ごとに各自治体に申請書と本人証明書類を提出しなくてはいけません。また、ワンストップ特例制度を利用した場合、寄附額から2,000円を差し引いた金額が、全額住民税から控除されます。
申請は寄附した翌年の1月10日まで(必着)で行わないといけないため、年内のうちに済ませておきましょう。
確定申告
個人事業主などの給与所得者以外であったり、医療費控除を受けるなどの理由で確定申告が必要であったりする場合、確定申告により寄附金控除を受けることになります。会社員などの給与所得者であっても、1年間での寄附先が6件以上である場合は確定申告をしなくてはいけません。
なお、確定申告の期限は翌年の2月16日から3月15日まで(当日が土日祝日の場合は休み明けの平日まで)のため、忘れずに手続きを済ませましょう。
⑥税金の還付が確認できたら完了
最後に、税金の還付・控除が確認できたら完了です。金額は後日手元に届く「住民税決定通知書」で確認できます。
なお、ワンストップ特例を利用した場合、住民税の控除は翌年6月から始まる流れです。一方、確定申告をした場合は、所得税の還付が翌年5月ごろに、住民税の控除は翌年6月から翌々年の5月にかけて行われます。
初心者向け!ふるさと納税のやり方でよくある質問

これまでの内容では取り上げていないものの、ふるさと納税に関して疑問に思う方が多そうなポイントについて「よくある質問」形式で解説します。
- Q.ふるさと納税はいつまでに手続きすべき?
- Q.ふるさと納税は誰でも行える?
- Q.複数の自治体にふるさと納税はできる?
- Q.今住んでいる自治体にふるさと納税はできる?
Q.ふるさと納税はいつまでに手続きすべき?
ふるさと納税は、基本的にいつでも好きな時に手続きをして構いません。
ただし、1月1日から12月31日の1年間に寄附した分が、当年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象となる基本ルールを覚えておきましょう。いつの所得税・住民税から還付・控除を受けたいかによって手続きをすべきタイミングも決まってきます。
また、人気がある返礼品を選ぶ場合、年末が近づくと在庫切れになる可能性もあるので注意が必要です。どうしても手に入れたい返礼品があるなら、在庫が十分にありそうな時期に手続きを進めましょう。
Q.ふるさと納税は誰でも行える?
理論上は、誰でもふるさと納税を行うことができます。ふるさと納税は、本質的には自治体への寄附であり、年齢条件が設けられていないため、高校生などの未成年が行っても構いません。
ただし、ふるさと納税では寄附をした方の所得金額によって税額控除額が決まる仕組みです。そのため、所得金額がゼロの方がふるさと納税をしても、全額自己負担となり、節税効果は得られません。
どうしても欲しい返礼品があるなどの事情があれば別ですが、基本的には所得がある方が行うほうが税制上のメリットを享受できます。
Q.複数の自治体にふるさと納税はできる?
寄附先とする自治体の数に制限はありません。なお、1件の寄附ごとに2,000円を自己負担するわけではなく、あくまで「年間の寄附総額に対する自己負担額」が2,000円である点には十分注意しましょう。
加えて留意すべきなのが、確定申告の有無です、1年間で寄附先とする自治体の数が6件以上になった場合「ワンストップ特例制度」は使えません。できるだけ手間を減らしたい方は、寄附する自治体を6件以下に抑えると安心です。
Q.今住んでいる自治体にふるさと納税はできる?
現在住んでいる自治体にふるさと納税をすること自体は可能ですが、基本的には返礼品を受け取ることができません。
感謝状など、経済的な所得とみなされないものであれば受け取れるケースもありますが、実際の運用方針は自治体によって異なるのが実情です。その自治体に居住している住民や、近隣の自治体の住民からのふるさと納税による寄附は受け付けないという条件を設けていることがあります。
気になる方は、現在住んでいる自治体での扱いについて事前に確認しておきましょう。
まとめ

ふるさと納税は、初心者でもやり方を押さえて取り組めば決して難しくありません。ただし、自治体の税収減による行政サービスの質の低下を懸念する声もあるのが実情です。
自分や家族のふるさとや、大規模災害で甚大な被害を受けた地域など、寄附したい理由がある場所に、節度を持ってふるさと納税をしましょう。
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