
外貨預金のメリットとデメリットは?おすすめの運用方法なども合わせて紹介
資産運用をこれから始めようと思っている方に、検討してほしいのが外貨預金です。日本円を外貨に換金して預けるというシンプルな仕組みのため、初心者でも始めやすいのが特徴です。この記事では、メリットやデメリットにも触れながら外貨預金について詳しく解説します。
外貨預金とは

まずは、外貨預金について基本的な仕組みにも触れながら解説します。
外貨で預け入れる預金のこと
外貨預金とは、日本円ではなく、米ドルやポンドなど、外国の通貨(外貨)で預け入れる預金のことです。実際に預け入れる際は、日本円を外貨に換える必要があります。
株式投資や投資信託、FX(外国為替証拠金取引)など、他の資産運用法に比べて仕組みがシンプルであり、これまでに投資をしたことがない方にもおすすめできる方法です。
外貨預金については、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
外貨預金の3つのメリット

外貨預金は比較的仕組みが分かりやすい資産運用法であるなど、さまざまなメリットがあります。ここでは、具体的なメリットとして、以下の3点について解説します。
①金利の高い通貨で預金ができる
外貨預金の1つ目のメリットは「金利の高い通貨で預金ができる」ことです。一般的な傾向として、日本円での預金よりも、外貨預金は金利が高くなる傾向にあります。そのため、同じ金額を預けたとしても利息が多くなるため、効率的に資産を増やすことが可能です。
金利が高過ぎる通貨は逆にデメリットになる
外貨預金でも、金利が高過ぎる通貨をメインにするのはあまりおすすめできません。例えば、トルコリラや南アフリカランドが考えられます。
新興国の場合、これから成長が期待されることからインフレも起こりやすく、それに合わせて金利も高めに設定されることが多くなっています。一方で政情不安定な国も多く、相場の急落が起こりやすいことから、金利を高くして海外からの投資を募っているのも実情です。
つまり、金利が高いため効率的に資産を増やせる一方、価値が暴落して資産が大幅に目減りする可能性があります。ある程度外貨預金の経験があり、他の通貨と組み合わせて少額を保有するなど、他の資産と組み合わせて保有することがおすすめです。
②円安になれば為替差益が得られる
外貨預金の2つ目のメリットは「円安になれば為替差益が得られる」ことです。例えば、20万円を用意して1米ドル=100円のときに2,000ドルを購入して預け入れ、1米ドル=150円になったときに引き出せば、日本円では30万円が手に入ります(為替手数料等は除く)。
この場合、為替の変動により10万円の利益が生じており、この利益のことを「為替差益」といいます。また、1米ドル=100円から1米ドル=150円になったのは、米ドルに対する日本円の価値が下がったのが理由です。このように、外貨に対する日本円の価値が下がることを「円安」といいます。
③初心者でも始めるハードルが低い
外貨預金の3つ目のメリットは「初心者でも始めるハードルが低い」ことです。多くの金融機関で扱われているため、普段利用している銀行で気軽に始められます。「日本円を外貨に換えて金融機関に預ける」という簡単な仕組みであるため、初心者でもわかりやすいでしょう。
また、為替相場の変動により円ベースで元本割れするリスクはあるものの、預け入れた外貨自体の元本は変動しません。そのため、同じく外貨ベースで行う投資である外国株と比べれば、リスクは低いといえます。
さらに、外国株式投資の場合は投資先を決めるために企業分析を含めた情報収集をしなくてはいけません。これらの背景により、初心者でも取り組みやすい資産運用の一種として、外貨預金はおすすめできます。
外貨預金の3つのデメリット

外貨預金にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあることにも注意しなくてはいけません。ここでは、外貨預金の具体的なデメリットとして、以下の3つについて解説します。
①為替手数料が発生する
外貨預金の1つ目のデメリットは「為替手数料が発生する」ことです。為替手数料には「TTS」と「TTB」の2種類があるため、違いを理解しましょう。
名称 | 概要 |
TTS | 「Telegraphic Transfer Selling rate」の略。日本円から外貨に交換するときに適用されるレートで、交換する日の為替レートに金融機関の手数料が上乗せされる。 |
TTB | 「Telegraphic Transfer Buying Rate」の略。外貨から日本円に交換するときに適用されるレートで、交換する日の為替レートに金融機関の手数料が引かれる。 |
TTS、TTBは、それぞれの金融機関が独自に定める仕組みになっています。
②円高になると元本割れする
外貨預金の2つ目のデメリットは「円高になると元本割れする」ことです。
例えば、20万円で1米ドル=100円のときに2,000米ドルを購入し、外貨預金として預けたとします(手数料は除く)。その後、円高が急速に進み、1米ドル=80円になったとしましょう。このタイミングで2,000米ドルを日本円に換金すると、16万円にまで減ってしまいます。実際は為替手数料がかかるため、手元に残る金額はもっと少なくなるはずです。
外貨預金はこのように、円安傾向が続くなら有利になる一方、円高傾向が続くと損失が出る可能性がある点に注意が必要です。子どもの学費など「将来の一定時期に必ず必要になり、かつ、価値が目減りしては困る資金」を用意する目的であれば、外貨預金は使わないのが無難です。
③金融機関が破綻しても保護されない
外貨預金の3つ目のデメリットは「金融機関が破綻しても保護されない」ことです。
日本では「預金保険制度」により、銀行などの金融機関が破綻した場合でも、一定の条件に当てはまる預金は一部もしくは全部が保護される仕組みが取られています。
種類 | 具体例 | 保護の範囲 |
決済用預金 | 当座預金 | 全額保護 |
一般預金等 | 定期預金、普通預金 | 合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等を保護 |
しかし、預金保険制度における保護の対象は「日本円の預金」に限定されていることから、外貨預金は対象外となります。つまり外貨預金をしていた金融機関が破綻すれば、1円も戻ってこない可能性も出てきます。
ある程度多額の資金を外貨預金で運用するつもりなら、複数の金融機関で外貨預金口座を作るなど、リスクを分散させるための自衛策を取りましょう。
普通預金や定期預金は保護されるのがメリット
一方で、日本円建ての普通預金や定期預金であれば、元本1,000万円および破綻した日までの利息等が保護されます。残高が1,000万円を超えるなら複数の金融機関に分散させることが望ましいですが、ある程度は保護されるのが大きなメリットです。
「将来の一定時期に必ず必要になり、かつ、価値が目減りしては困る資金」は、まずは日本円建ての普通預金や定期預金で確保しておきましょう。
外貨預金のおすすめの運用方法

資産運用として外貨預金にチャレンジする際は、以下の点を意識して始めてみましょう。
最初は米ドルから始める
外貨預金を始めるなら、最初に積み立てる通貨として米ドルを選ぶのがおすすめです。米ドルはアメリカだけでなく世界中で流通している基軸通貨の一種であり、幅広い情報が出回っています。そのため、初心者でも情報収集がしやすく、取り組みやすいでしょう。
複数の通貨に分散投資をする
ある程度外貨預金に慣れて、投資に回せる資金が増えてきたら、複数の通貨に分散投資をしましょう。同じ通貨を大量に保有するのは、万が一その通貨の相場が大幅な円安傾向に転じた場合、損失が膨れ上がる可能性があります。
しかし、値動きの違う複数の通貨に分散投資していれば、一種類の通貨が大幅な円安傾向に転じても損失をある程度軽減することが可能です。
預け入れるタイミングをずらす
外貨預金のリスクを軽減するためには、預け入れるタイミングをずらすと効果的です。例えば、「毎月10日に日本円で1万円分預け入れる」など、金額を一定に保ったうえで預け入れるタイミングをずらしましょう。
このやり方は、投資で広く用いられる「ドル・コスト平均法」に基づいています。これは、外貨など価格が日ごろから動いている金融商品を対象とし、定期的に一定金額を購入し続けていく方法です。
一定金額を購入し続けていくことにより、価格が低い時にはより多く購入できる一方、価格が高いときはより少なく購入することになります。つまり、全体としての平均購入単価を平準化することが可能です。
損をしても問題ない資金で行う
外貨預金は、損をしても問題ない資金(余裕資金)で行うことを心掛けましょう。前述したように、外貨預金には円高になると元本割れする可能性があります。
また、預け先だった金融機関が破綻した場合、外貨預金は預金保険制度の保障対象外となるため、必ずしも全額が保護されるわけではありません。破綻した金融機関の財産の状況に応じて返還される金額が決まるため、場合によっては大幅な損失が発生する可能性もあります。生活に必要な資金を外貨預金に多くつぎ込む際は、こうしたリスクを十分に理解しておくことが重要です。
本来、損をしてもよいお金はありませんが、生活に大きな影響が出ないよう、あくまで生活に必要な資金を確保したうえで、少しずつ取り組む前提で考えましょう。
経済・政治のニュースはこまめにチェックする
外貨預金の運用をする際は、特に経済・政治のニュースをこまめにチェックしましょう。経済・政治の動向は為替相場に大きな影響を及ぼすためです。
わかりやすい例の1つとして、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会、日本の日本銀行に相当)による利上げが挙げられます。つまり、中央銀行が民間銀行に貸付する際の金利が引き上げられるのは、インフレが起きる可能性が高く、景気が過熱していると判断されるタイミングです。そのため、FRBが利上げに踏み切るタイミングでは、アメリカの景気がよいと判断されるため、米ドルへの需要が高まることから、円安になる傾向があります。
もちろん、これは理論上の話であり実際は円高になる場合もあるため、外貨預金を含めた資産運用を行う際は、相場の動向を知るためにもニュースをこまめにチェックしてください。
まとめ

外貨預金は、資産運用初心者でも比較的チャレンジしやすい方法であることを含め、さまざまなメリットがあります。一方で、円高傾向に転じた場合、日本円ベースで資産が目減りする可能性もあるなど、一定のデメリットもあることに注意しなくてはいけません。
とはいえ、実際に取り組んでみるのが一番の勉強になります。外貨預金を始めたいと考えている方は、まずは普段使っている銀行で外貨預金口座を開設してみましょう。
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