住宅ローンの選び方ガイド!自身に合う金利タイプや返済方法を選ぶポイントを解説
家を購入する際には、多くの方が住宅ローンを組むことになるでしょう。住宅ローンはさまざまな種類があるため、ご自身に合うものを選ぶことが重要です。今回の記事では、住宅ローンを選ぶ際に着目すべきポイントについて、手続きの流れなども絡めながら詳しく解説します。
Supervisor監修者
2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者荒井 美亜
立教大学大学院経済学研究科卒業。
「ささいな疑問や悩みを拾い上げ、前に進む原動力に変える」ことを目標に、金融分野を中心にライター活動中。
日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。
住宅ローンとは?
住宅ローンとは、新築・中古のマンションや建売住宅を購入したり、一戸建てを建築したりする際の資金を借りるためのローンです。銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫などの金融機関で扱っています。
投資用物件やセカンドハウスはNG
投資用物件やセカンドハウスを購入する際に、住宅ローンを使うことはできません。あくまで住宅ローンは、ご自身が住むための住宅を購入・新築・改築する資金を借りるための商品であるためです。
民間の住宅ローンとフラット35がある
住宅ローンには、民間の金融機関が独自で展開する商品と、フラット35の2種類があります。フラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。利用する際は、民間の金融機関の窓口を通じて申し込みします。
住宅ローンの選び方で見るべき4つのポイント
住宅ローンはさまざまな金融機関で扱われている商品であり、種類も非常に豊富です。決まった選び方はないため、ご自身に合ったものを選択し、無理なく返済できるようにしましょう。
ご自身に合った住宅ローンを選択するための基準になるポイントとして、以下の4点について解説します。
- 住宅ローンの金利タイプ
- 住宅ローンの返済方法
- 手数料・諸費用を含めた総返済額
- 団体信用生命保険の保障内容
ポイント1.住宅ローンの金利タイプ
住宅ローンは、主に以下の3つの金利タイプが用意されています。
項目 | 概要 | メリット | デメリット |
全期間固定金利型 | 契約した時の金利が完済時まで変化しない | ・借入時に返済額が確定するため、返済計画が立てやすい ・将来的に市場金利が上昇したとしても影響は受けない |
・将来的に市場金利が低下した場合、割高になる ・変動金利と比べ、金利が高め |
固定金利期間選択型 | 「当初5年間は⚪︎%」など一定期間固定金利が適用される | ・固定金利期間適用中の返済額は一定になる ・固定金利期間終了後、希望する金利タイプへ変更することができる |
・固定金利期間終了後の返済計画が立てにくい ・金利の適用期間終了ごとに金利タイプの見直しが必要になる |
変動金利型 | 金融情勢の変動に伴い、返済の途中でも定期的に借入金利が変動する | ・契約後に市場金利が低下すれば返済額が減る ・固定金利と比べ、金利が低め |
・契約後に市場金利が上昇すれば返済額が増える ・返済計画が立てにくい |
ポイント2.住宅ローンの返済方法
住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。金融機関によって扱っている方法が異なるため、事前に確認しましょう。
項目 | 概要 | メリット | デメリット |
元利均等返済 | 借入年数にかかる利息を計算し、元金と利息の合計を毎月均等に支払う返済方法 | 完済まで毎月の返済額が一定になるため、資金計画が立てやすい | 元金均等返済に比べ、返済総額は多くなる |
元金均等返済 | 元金の返済を均等にし、残高に応じて利息を支払う返済方法 | 元利均等返済に比べ、返済総額は少なくなる | 返済開始からしばらくの間は返済額が大きい |
ポイント3.手数料・諸費用を含めた総返済額
住宅ローンを契約する際には、以下のような諸費用や手数料がかかります。
融資手数料 | 金融機関に対して支払う手数料。相場は数万円程度だが、金融機関によって異なる。手数料を多く支払うが、ローン保証料のかからない商品もある。 |
ローン保証料 | 保証会社に対して支払う手数料。金額は住宅ローンの借入額・返済期間・資金使途等によって異なる。 |
仲介手数料 | 不動産会社に対して仲介活動の報酬として支払う費用。金額は不動産会社によって異なる。 |
火災保険料 | 保険会社に対して払う保険料。約5~25万円が相場であり、保険会社によって異なる。 |
地震保険料 | 火災保険とあわせて保険会社に対して支払う保険料。保険金額1,000万円あたり約1~3万円が相場。 |
団体信用生命保険料 | 一般的に、住宅ローンの金利に含まれている。別途支払う必要はない。 |
決して安くはないので、手数料をできるだけ抑えられるか、そのための相談に対応してくれるかも基準にしてみましょう。
ポイント4.団体信用生命保険の保障内容
団体信用生命保険とは生命保険の一種で、住宅ローンの返済中に死亡・高度障害など一定の状態に至った場合は、保険会社が債務を返済してくれる商品のことです。一般的に、住宅ローンを組む際は団体信用生命保険への加入が義務付けられています。
幅広くリスクに備えるためには、団体信用生命保険の保障内容にも着目しましょう。特約をつけると、もしものことが起きた場合だけでなく、病気や怪我・要介護状態など幅広いリスクへの対応が可能です。
例えば、8大疾病保障という特約をつけた場合、以下の病気により所定の身体状態に該当する場合は、それ以降の返済が免除されます。金融機関によって団体信用生命保険に付加できる特約は異なるため、住宅ローンを選択する際の基準の1つにすると良いでしょう。
- がん
- 脳卒中
- 急性心筋梗塞
- 高血圧症
- 糖尿病
- 慢性腎不全
- 肝硬変
- 慢性膵炎
住宅ローンを借入れる際の流れ
住宅ローンを借入れる際の基本的な流れは、以下のとおりです。
- 自分が無理なく完済できる額を知る
- 金利タイプを選ぶ
- 金融機関を選ぶ
- 住宅ローンの審査を受ける
- 契約を交わし融資を受ける
それぞれの項目について、詳しく解説します。
1.自分が無理なく完済できる額を知る
マイホームの購入とそれに伴う住宅ローンの契約にあたっては、まず「自分が無理なく完済できる額」を知りましょう。
一般的に、住宅ローンの毎年の返済額は年収の20~25%以内に抑えるのが望ましいとされています。例えば年収が800万円の方であれば、160~200万円以内が目安です。返済期間が30年の場合、4,800~6,000万円を借入できることになります。
ただし、これはあくまでも目安なので、ご自身やご家族の状況、購入を希望するエリアに合わせて具体的な借入額を決めましょう。なお、実際の借入可能額は金融機関の審査によって決まるため、想定より低い額になる可能性もあります。
2.金利タイプを選ぶ
既に触れたとおり、住宅ローンには全期間固定金利型・固定金利期間選択型・変動金利型という3つの金利タイプがあります。
どのタイプにもメリット・デメリットがあるため、ご自身やご家族のライフプランに応じて選びましょう。金融機関に相談すれば、取り扱いがある金利タイプごとに借入・返済のシミュレーションにも対応してもらえます。
3.金融機関を選ぶ
続いて、どこの金融機関で住宅ローンを契約するかを考えましょう。ここでは、複数の金融機関に相談してみるのをおすすめします。
また、団体信用生命保険に付加できる特約も金融機関によって異なります。持病がある方は、団体信用生命保険の審査が否決される可能性があるため、引受基準緩和型の団体信用生命保険の利用に対応してくれるのかも確認しましょう。
4.住宅ローンの審査を受ける
住宅ローンの契約にあたってはまず仮審査(事前審査)が行われます。主に「融資できるかどうか」を見極めるための審査です。本人確認書類(例:運転免許証)や収入を証明する書類(例:源泉徴収票)の提出が必須なので、忘れないようにしましょう。
以下の点が主にチェックされますが、通過しないと本審査(正式審査)に進めないので注意が必要です。
- 年収
- 借入期間
- 収入合算の有無
- 借入希望額、返済比率
- 勤続年数
- その他借入状況
仮審査に通過したら、本審査が行われます。仮審査とは違い、公的書類(例:住民票)や物件関係の書類(例:不動産売買契約書)が必要になるため、期日までに用意しておきましょう。
なお、仮審査に通っても本審査に通過できないケースも散見されます。審査基準や否決となった理由は開示されませんが、考えられる可能性は以下のとおりです。
- 仮審査での申告内容と実態が違っていた
- 物件に問題があるとみなされた
- 団体信用生命保険の審査が否決になった
5.契約を交わし融資を受ける
本審査に通過したら、正式に金融機関と住宅ローン契約を結びます。実印や金融機関への届出印等を用意し、金融機関の窓口に出向きましょう。手続きが問題なく進めば融資が実行され、指定された口座に入金されます。
一般的に、住宅ローンを契約する金融機関での口座開設が必須となります。申し込み時点で開設するよう求められることが大半ですが、口座を持っていなかったとしても指示に従って対応すれば問題ありません。
なお、融資の実行は物件の引き渡しと同時に行われるため、引き渡し日を確認しておきましょう。同日には登記手続きも行われるため、署名・捺印が必要になることは事前に把握しておきましょう。
住宅ローンを組む際の注意点
ただ何となく住宅ローンを組もうとすると、手続きが進まなかったり、途中で返済が難しくなったり、トラブルが起きる可能性も高くなります。住宅ローンを組む際は、以下の点に注意しましょう。
1.住宅ローンを契約する際には諸費用がかかる
住宅ローンの契約にかかる諸費用や手数料の一般的な相場は、中古物件だと物件購入額の6~10%、新築物件だと3~7%程度です。
あくまで一般的な基準のため、実際にかかる金額は事前に確認するよう注意が必要です。金融機関によってはこれらの諸費用・手数料を含めた金額で住宅ローンを組むこともできるので、選択肢の1つに加えると良いでしょう。
2.ランニングコストを踏まえて毎月の返済額を決める
前述したように、住宅ローンを組む際は毎年の返済額が年収の20~25%程度に抑えると無理なく返済できると言われています。例えば、額面年収が800万円の方の場合、年間の返済額は160~200万円程度になります。
しかし、生活費の出費は住宅ローンの返済だけではありません。新居での生活が始まれば、水道光熱費やメンテナンス費、修繕費など、当然その住居の管理・維持費用が必要になります。
住宅ローンの返済額だけでなく、その他定期的に発生するコストも出費額の見積りに含めたうえで、生活に無理が生じない返済計画を立てましょう。
3.書類の不備に気を付ける
住宅ローンに申し込む際は、書類の不備に注意しましょう。一般的には以下の書類が必要になります。
- 運転免許証など本人確認書類
- 住民票(発行後3ヵ月以内)
- 収入に関する書類(源泉徴収票や確定申告書など)
- 物件に関する書類(不動産売買契約書や重要事項説明書など)
- 団体信用生命保険申込書兼告知書
申込の際は事前に必要な書類のリストが渡されるので、それをもとに期日までに準備しましょう。書類の不備が多いことが原因で、審査結果が出るまでに時間がかかってしまう可能性もあるため、不備を指摘されたらすぐに対応することをおすすめします。
4.クレジットカードやカードローンの延滞・滞納
過去にクレジットカードやカードローンの延滞・滞納を起こしたことがある場合は、住宅ローンの審査に響く可能性があります。ご自身の信用情報を信用情報機関に照会し、金融事故として登録されていないかを確認しましょう。
また、クレジットカードやカードローンの利用残高がある場合は、できるだけ減らしておくと良いでしょう。使う予定がないなら完済し、解約するのも1つの選択肢です。完済証明書(残高証明書)を発行してもらい、審査の際に提出できるようにしておきましょう。
まとめ
住宅ローンは多額のお金を借りて長い時間をかけて返済する以上、ご自身に合ったものを選ぶことが重要です。1つの金融機関だけで決めるのではなく、複数の金融機関をあたって比較検討しましょう。ご家族やお知り合いの方に聞いてみるのも、良い情報収集になるでしょう。
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