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ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる?やり方と注意点を詳しく解説

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる?やり方と注意点を詳しく解説

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで家を買った場合に使える一定期間税金を抑えられる制度です。また、ふるさと納税をすれば返礼品が受取れるうえに、所得税・住民税から還付・控除が受けられます。両者の併用は可能ですが、正しいやり方や注意点を知っておきましょう。

2025年4月1日 くらす

Supervisor監修者

荒井 美亜

2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者
荒井 美亜

立教大学大学院経済学研究科卒業。
「ささいな疑問や悩みを拾い上げ、前に進む原動力に変える」ことを目標に、金融分野を中心にライター活動中。
日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できる

ふるさと納税と住宅ローンについて調べる男性

まずは前提知識として、ふるさと納税と住宅ローン控除の制度の内容や、利用できる条件についてしっかりと理解しましょう。

ふるさと納税のやり方

ふるさと納税とは、特定の自治体に寄付をすることで、返礼品が受け取れるうえに、所得税・住民税から一定額の還付・控除が受けられる制度です。ただし、自身が住む自治体にはふるさと納税はできません。

ふるさと納税をすると、年間の寄付金額から2,000円を引いた額について翌年以降の所得税・住民税から還付・控除を受けることが可能です。例えば、1年間の寄付金額が5万円だった場合は、2,000円を差し引いた4万8,000円について還付・控除が受けられます。

ただし、自身が住む自治体にはふるさと納税はできません。還付・控除が受けられる金額は、収入(厳密には所得)や家族構成によって上限額が設けられていることにも注意が必要です。

また、厳密には「先にふるさと納税の形で支払い、後で支払うべき所得税や住民税の額を減少させられる」制度であるため、節税効果はありません。ただし、返礼品を受取れたり、自身や家族のふるさとに貢献できたりと、一定のメリットはあります。

ふるさと納税は、基本的に以下の流れで行います。

ふるさと納税の基本的な流れ
  1. 自身の控除上限額を調べる
  2. 寄付先の自治体を選ぶ
  3. 返礼品、寄附金受領証明書を自治体から受取る
  4. ワンストップ特例もしくは確定申告により寄附金控除の手続きをする

ふるさと納税は、自治体に寄付して返礼品や寄附金受領証明書を受け取っただけでは、所得税・住民税の還付・控除は受けられないため注意が必要です。確定申告やワンストップ特例制度の利用により、寄附金控除の手続きをしなくてはいけません。

ワンストップ特例制度とは、以下の条件を該当すれば利用できる、確定申告によらずに寄附金控除が受けられるやり方です。

ワンストップ特例制度が使える条件
  • 会社員など、もともと確定申告をする必要がない給与所得者である
  • 1年間の寄付先が5自治体以内である
  • 申込みの度に自治体に申請書を提出する(郵送もしくはオンライン)

参考元:総務省「ふるさと納税ポータルサイト

ふるさと納税のやり方については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。

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ふるさと納税はiDeCoや医療費控除とも併用可能

ふるさと納税は、iDeCoや医療費控除とも併用できます。ただし、iDeCoや医療費控除を使うことで、ふるさと納税の控除限度額が減る可能性があるため注意が必要です。iDeCoや医療費控除には支払う所得税を低くする効果があるため、結果としてふるさと納税の控除限度額が低くなります。

なお、控除限度額を超えてふるさと納税をした場合、超えた部分については自己負担となり、控除も受けられません。

住宅ローン控除のやり方

住宅ローン控除とは、マイホームを購入する際に住宅ローンを使った人が、一定の条件を満たせば税金の控除が受けられる制度です。2022年からの制度のもとでは、最大13年間にわたって年末の借入金残高の0.7%にあたる金額を所得税から直接差し引けます。

会社員であっても住宅ローン控除を受ける場合、初年度は確定申告が必要になります。確定申告にあたっては以下のような書類が必要になるため、早い段階から準備しましょう。なお、あくまでも一例となるため、分からなければ、税務署に「住宅ローン控除を受けたい」と伝え、確認してください。

確定申告にあたって必要になる書類の一例
  • 確定申告書
  • 本人確認書類の写し
  • 源泉徴収票
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローンの年末残高等証明書
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
  • 住宅の区分に応じた証明書類

一方、2年目以降は会社員であれば年末調整で住宅ローン控除が受けられます。以下の2種類の書類が必要になるため、早めに準備し、勤務先の担当部署に提出しましょう。

年末調整で住宅ローン控除を受けるための書類
  • 給与所得者の(特定増改築など)住宅借入金等特別控除申告書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

確定申告により住宅ローン控除を受けるなら、2年目以降は以下の書類を用意してください。

確定申告により住宅ローン控除を受けるための書類(2年目以降)
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

会社員でも医療費控除を受けるなど他に確定申告が必要になる理由がある場合や、自営業・フリーランスなど年末調整ができない職業・立場の場合は確定申告により住宅ローン控除およびふるさと納税の寄附金控除の手続きを進めることになります。

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合の注意点

ふるさと納税と住宅ローンについて注意点を話す女性

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能ですが、いくつか注意すべき点があります。ここでは具体的な注意点について、詳しく解説します。

住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除を受ける場合、会社員など本来は確定申告の必要がない立場であっても、確定申告が必要になります。そのため、ふるさと納税の寄附金控除を受けるためのやり方として、ワンストップ特例制度は使えません。

なお、住宅ローン控除のために確定申告を行う場合、マイホームを購入した翌年の1月1日から3月15日(当日が土日祝日など休日の場合は休み明けの平日まで)までに手続きを済ませる必要があります。

忘れてしまった場合でも、確定申告の対象となる翌年の1月1日から5年以内に還付申告をすれば、税金の還付を受けることが可能です。ただし、5年を過ぎると還付も受けられなくなるため、早めに手続きを済ませましょう。

状況次第では上限額満額の控除が受けられない

住宅ローン控除では、所得税から控除しきれなかった額がある場合は住民税からも控除することが可能です。ただし、その控除限度額は課税総所得金額の7%で最大136,500円までと、上限額が決められています。

さらに、住宅ローン控除はふるさと納税分の控除後に適用されるので、状況次第では上限額満額の控除が受けられないことがある点に注意が必要です。

具体例でシミュレーションしてみよう

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合、どれだけ控除が受けられるのか、具体例を用いてシミュレーションしてみましょう。

ここでのシミュレーションでは、年収400万円、独身の会社員を想定します。計算にあたっては社会保険料を年間60万円、給与からの天引きで支払っていたものと仮定します。まず、所得税と住民税の金額を求めるためには、課税所得を求めなくてはいけません。課税所得は以下の式で求めます。

400万円-(400万円×20%+44万円)―48万円(基礎控除)-60万円(社会保険料控除)=168万円

所得税および住民税は、課税所得や適用される税率を元にして、次のように計算します。

所得税および住民税の金額
  • 所得税:課税所得×5%=8万4000円(195万円以下は0円)
  • 住民税:所得割10%+均等割5000円=17万3000円

ここで、住宅ローン控除の額が16万8,000円(うち、住民税からの控除上限額は8万4,000円)、ふるさと納税での納税額は4万2,000円だったとしましょう。

ワンストップ特例制度を利用した場合、控除後の所得税および住民税の金額は次のとおりです。

ワンストップ特例を用いた場合の所得税・住民税の額
  • 所得税:課税所得×5%=8万4000円(195万円以下は0円)
  • 住民税:17万3000円-8万4000円-4万円=4万9000円

ワンストップ特例を用いた場合、ふるさと納税を行ったことによる控除は、住民税からのみ受けられます。また、住宅ローン控除は所得税・住民税の両方から受けられる仕組みです。

一方、確定申告によった場合は所得税もふるさと納税の影響を受けるので、計算結果が異なります。ふるさと納税の寄附金控除は、所得控除として扱われるため、所得税の計算にあたって所得から差し引く仕組みです。

そのため、所得税からは寄附金控除により2,000円、住宅ローン控除により8万2,000円が控除されます。

所得税から控除しきれない住宅ローン控除の額として8万6,000円が残りますが、住民税からは8万4,000円までしか控除できません。結果として、確定申告した場合の所得税と住民税の額は、以下のようになります。

確定申告をした場合の所得税・住民税の額
  • 所得税:課税所得×5%=8万4000円(195万円以下は0円)
  • 住民税:17万3000円-8万4000円-3万8000円=5万1000円

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合のポイント

ポイントの積み木

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する場合に意識すべきポイントとして、以下の2点について詳しく解説します。

可能ならワンストップ特例制度を使うこと

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用したい場合、可能な限りはワンストップ特例を使いましょう。ワンストップ特例を使った場合、自治体への寄付金額はふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税から控除されます。

所得税からは控除されないため、住宅ローン控除に与える影響が小さくなるのがメリットです。

ただし、前述したように住宅ローン控除を受ける初年度は、会社員など本来必要ない立場でも確定申告をしなくてはいけません。そのため、ワンストップ特例制度を使うことによりふるさと納税と住宅ローン控除を併用するメリットが受けられるのは、次年度以降になります。

返礼品がもらえる分一定のメリットはある

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用すると、状況次第では上限額満額の控除が受けられないことがあるため注意が必要です。ただし、ふるさと納税をすれば返礼品が受け取れるという意味で、住宅ローン控除を併用したとしても一定のメリットはあります。

住宅ローン控除とふるさと納税の併用により大幅な控除ロスを生じさせないためには、事前にどの程度までふるさと納税ができるかを調べましょう。念のため、早い段階でふるさと納税と住宅ローン控除の併用について税理士や税務署に確認すると、なお効果的です。

まとめ

ふるさと納税と住宅ローンについて調べる夫婦

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できますが、寄附金控除はワンストップ特例か確定申告のどちらかを選ぶ必要があります。住宅ローン控除の初年度や自営業者はワンストップ特例を使えませんが、会社員で確定申告が不要なら2年目以降は利用可能です。控除額は人によって異なるため、確認してください。

ワンストップ特例は翌年1月10日までに書類提出が必要となり、間に合わないと確定申告が必要になるため早めに手続きをしましょう。

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