栃木県の方言一覧!言葉の意味や特徴、日常で使われる会話の例文をご紹介
関東地方の内陸に位置する栃木県は、個性的で面白い方言が数多く存在する地域です。本記事では、栃木県の方言について、特徴や各表現の意味とともに紹介します。日常生活で使える表現や例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
栃木県の方言の特徴とは?
栃木県内で多く話される栃木弁は、話し方やイントネーションなどにユニークな特徴がある言葉です。まずは、栃木県の方言の特徴を解説します。
①アクセントが平坦
栃木県の方言を話す際に、一番分かりやすい特徴はアクセントが平坦という点です。一般的に1つ単語を話す際には、前後の音節に高低差のきまりがあります。「雨」と「飴」のように、高低差の違いによって同音異義語の種類を判別するのです。
しかし、南西部を除いた栃木県の方言には、音節の高低差のきまりがありません。本来栃木県は、アクセントがはっきりしている東京式アクセントでした。しかし、東北地方の方言が交わったことで、宇都宮・日光エリアを中心とした多くの地域でアクセントがなくなったとされています。
②濁音が多い
栃木県の方言は、濁音が多い傾向にあります。特に2音節以下にカ行音・タ行音が位置する単語を話す際によく見られるでしょう。例として「坂」を「サガ」、「男」と「オドコ」と発音します。主に日光・宇都宮より北部のエリアに多い特徴です。
③イの音・エの音が混同しやすい
栃木県の方言を話す際には、イの音・エの音が混同しやすい傾向にあります。例えば「エスカレーター」は「イスカレーター」、「色鉛筆」は「イロインピツ」といったような話し方になるのが特徴です。
④東関東と西関東で種類が異なる
同じ栃木県であっても、東関東と西関東では方言の種類が違っているのも特徴です。日光や宇都宮を中心とした北・東関東エリアでは栃木弁ですが、足利市・佐野市などの西関東では足利弁を使います。
西関東で用いられている足利弁は、一般的な栃木弁とは違って言葉にはっきりとしたアクセントがあるのが特徴です。
日常会話で使われる栃木県の方言の例文・意味一覧
次に、実際に栃木県内の日常生活で使われる方言を紹介します。各種類の意味や例文も一緒に掲載していますので、実際に使ってみてはいかがでしょうか?
①おばんです(=こんばんは)
夜の挨拶の際に使う栃木県の方言が「おばんです」です。一般的には、夕方・夜間の挨拶はまとめて「こんばんは」と表現されます。しかし、栃木県の方言では夜は「おばんです」、夕方は「お晩方(ばんがた)です」と時間帯によって表現が細かく違うのが特徴です。
「おばんです」や「お晩方です」には挨拶としての意味だけでなく、相手に対して「今日も一日お疲れ様」という思いやりの気持ちが込められているとされています。
- おばんですー。回覧板持ってきたよー!(こんばんは。回覧板持ってきたよ!)
②あんがとね(=ありがとうね)
誰かに感謝の言葉を伝えたいときには「あんがとね」と話してみましょう。標準語と同じ「ありがとうね」という意味ではありますが、少し砕けた雰囲気になります。日常生活のちょっとしたシーンでお世話になった人へ、さりげなく伝えてみてください。
- 昨日は美味しい桃をおよばれしちゃって、あんがとねー。(昨日は美味しい桃をごちそうになっちゃって、ありがとうね。)
③こでらんない(=たまらない)
何かに対して感動したときに使われる、栃木の方言が「こでらんない」です。「堪えられないほど良い」や「すばらしい」といったように、場面に合わせてさまざまな意味があります。
栃木旅行で美味しいものを食べたときや温泉に入ったときなど、素敵なものと出会った際には「こでらんねぇ~!」とつぶやいてみましょう。
- この料理、こでんらんねぇ~!(この料理美味しいね~!)
- 大好きな作品がいっぱいで、こでらんない!(大好きな作品がいっぱいで、すばらしいなぁ!)
④寄ってがっせ(=ぜひ来てください)
「寄ってがっせ」は、主に近所づきあいで使われる栃木県の方言です。友人を自宅へ呼ぶ際に使われることが多く、似た言葉に「寄っとごれ」があります。語尾の「~っせ」は、目上の人へ話す際に使われる表現であり、相手を敬い大切に思う気持ちが込められています。
- こんどこっちさ来たら、うちに寄ってがっせ。(こんどこっちへ来たら、うちへ遊びに来てくださいね。)
⑤だいじ(=大丈夫)
誰かを心配する際に使われるのが「だいじ」です。普段栃木県の方言に慣れていない人が「だいじ」と聞くと「大切」や「大変なこと」といった意味に受け取られやすいですが、栃木県では相手を励ます意味があります。
友人や知り合いが落ち込んでいたり、ケガをしていたりした場合に「だいじけ?」と尋ねてみましょう。思いやりの気持ちや優しさを共有できる、素敵な栃木県の方言です。同じ意味を持つ栃木県の方言として「くらねー」や「くらーね」といった表現もあります。
- おっ危ない!だいじけ?(おっ危ない!大丈夫かい?)
- だいじだいじ!頑張っぺ!(大丈夫大丈夫!頑張れ!)
⑥らいさま(=雷)
栃木県では、雷を表す「らいさま」も日常生活でよく使われる言葉です。栃木県において雷は夏に多く発生するものであり、水田に恵みの雨をもたらしてくれるものとされています。「さま」と付けることで自然現象への畏怖・敬意を含めるとともに、親しみのある方言といえるでしょう。
- こらぁ、お晩方はらいさまだなー。(これは夕方には雷様が来そうですね。)
- らいさまがくっぞぉ~!へそかくせぇ~!(雷様がくるぞー!へそを隠してー!)
⑦えんがみた(=大変だった)
トラブルの対処で大変だったときに使う栃木県の方言が「えんがみた」です。仕事や栃木旅行の途中で起こったトラブルを、誰かに話す際に使えます。身近な人が「えんがみたよ~」と話していたら「だいじけ?」と返すのも良いでしょう。
- 昨日はえんがみたよ。(昨日はひどい目にあったよ)
- 昨日買い物行ったら、帰りに雨にあってえんがみたよぉ。(昨日買い物に行ったら、帰り道で雨が降ってきて大変だったよ)
勘違いされやすい栃木県の方言と意味一覧
栃木県の方言のなかには、一般的に知られている意味とは全く違うニュアンスで使われている言葉も少なくありません。ここからは、意味を勘違いされやすい栃木県の方言を紹介します。
①こわい(=疲れた)
「こわい」という言葉は「恐ろしい」という意味が一般的ですが、栃木県の方言では「疲れた」という意味になります。栃木県では日常的に使われる表現です。しかし、方言に慣れていないと、知り合いから「今日は仕事でこわい」と聞いたら何があったのかと驚いてしまうでしょう。
- とうと登ってたっけ、こわいから座ってもいいけ?(ずっと登ってたし、疲れたから座ってもいい?)
②よばれる(=いただく)
栃木の方言で「よばれる」は、誰かからおすそ分けしてもらった食べ物を食べるときや、誰かにご飯をご馳走になった際に使われます。「招待される」という意味でも使われますが、状況や話の内容によって使い分けるのが一般的です。
ただ食べ物を食べるだけでなく、ご馳走してくれた相手への感謝や敬意が込められた、栃木県の方言といえるでしょう。
- うちでお茶よばれてってよ!(うちでお茶飲んでいってよ)
- 〇〇さん家のホームパーティーにおよばれして、お腹いっぱいよばれてきたよ。(○○さん家のホームパーティーに招待されて、お腹いっぱいご馳走になったよ)
③いってみる(=帰る)
「いってみる」という言葉を聞くと、一般的には「行く」という意味に受け取れるでしょう。しかし、栃木県の方言では「帰る」という、正反対の意味として使われています。知り合いの家から帰る際に「失礼します」というニュアンスで使ってみましょう。
- では、そろそろいってみますね。(では、そろそろ失礼しますね)
④固める(=鍵を閉める)
一般的に「固める」という言葉は、文字通り「まとめる」や「固い状態にする」といった意味で使われます。しかし、栃木県の方言では「戸締り」というニュアンスで使われるのが一般的です。
元々は「堅く守る」という意味でしたが、ニュアンスが変化した結果「鍵を閉める」という意味になったとされています。
- この後雨降ってくるらしいから、ちゃんと戸固めとけぇ。(この後雨が降ってくるらしいから、ちゃんと戸の鍵を閉めておいてね)
⑤ぶんなげる(=置いておく)
一般的に「ぶんなげる」と聞くと、乱暴に投げるといったニュアンスで受け取られる傾向にあります。しかし、栃木県の方言の場合「適当な場所に放置する」というニュアンスであり、投げるという意味はありません。
- その荷物はぶんなげといて。(その荷物は適当に置いておいて)
⑥あんだだよ!(=何をするの!)
揉め事があった際によく聞く栃木の方言が「あんだだよ!」です。方言に慣れていないと、一度聞いただけでは「あなただよ」と聞こえるかもしれません。しかし、この方言が聞こえたなら、喧嘩やトラブルが始まる直前かもしれません。
- あんだだよ!いきなりぶっくらしてきてさぁ!(なにすんの!いきなり殴ってきてさぁ!)
⑦まさか(=すごい)
一般的に信じられないことを話すときに使われる「まさか」ですが、栃木県の方言では「さすが」や「すごい」という意味で使われます。「まっさか」という表現でも使われており、相手への尊敬の気持ちがこもった方言といえるでしょう。
- まっさか長いこと野球やってた人は投げ方が違うねぇ。(さすが長いこと野球やっていた人は投げ方が違うね)
- 〇〇ちゃんはまっさか可愛いなぁ。(〇〇ちゃんはすごい可愛いなぁ)
⑧くさる(=濡れる)
一般的に「くさる」と聞くと「腐敗」のイメージを持つ人が多いでしょう。しかし、栃木県の方言では「濡れる」という意味で使われる言葉です。ちなみに佐野エリアでは「ぬれる」という言葉もあり、濡れたものの種類に合わせて使われています。
「くさる」は、食品や衣類などの濡れたままだといずれ腐ってしまうものに使う表現です。対して「ぬれる」は石をはじめとした、濡れた状態で放置しても腐らないものに対して使われるとされています。
- 急な雨で服がくさっちゃったよー(急な雨で服が濡れちゃったよ)
実はこれも方言!他の地域でも使われている栃木県の言葉一覧
栃木県の方言のなかには、他の地域でも普通に使われている言葉もあります。日常会話にも手軽に取り入れやすい言葉ばかりなので、ぜひ実際に使ってみてください。
①まぜて(=仲間に入れて)
子どもの頃に、遊びの輪に入るときに「まぜて!」と言った人はいるのではないでしょうか。実は、栃木県の方言としても使われている言葉です。ただ輪に入るだけでなく、他の人たちと親しく関わりたいという気持ちが込められています。
- かくれんぼに私もまぜて!(かくれんぼに私も仲間に入れて)
②あまらす(=残す)
「あまらす」は、一般的に使われる「余る」と同じ意味で使われている栃木県の方言です。食事を残してしまったときの一言として使ってみましょう。
- 夕飯のおかずをあまらしちゃった。(夕飯のおかずを残しちゃった)
③はしっこい(=すばやい・賢い)
走るのが速い人を表す言葉に「すばしっこい」という表現があります。栃木県の方言でも、動きが速い人を表現する際には「はしっこい」という表現を使うのが一般的です。また「賢い」や「よくできる」といった意味でも用いられる言葉であり、会話の内容で使い分けています。
- 私の甥っ子ははしっこくて、運動会のリレーではいつも一等賞です。(私の甥っ子はすばしっこくて、運動会のリレーではいつも一等賞です)
- いつもお母さんすけってて、〇〇ちゃんははしっこいなぁ。(いつもお母さん手伝ってて、〇〇ちゃんはえらいなぁ)
栃木県ならではの方言を使ってみよう!
栃木県の方言は他にも様々な種類があり、どれも人々の暮らしや思いやり、風土などが垣間見える素敵なものです。ぜひ栃木県を訪れた際には、栃木県ならではの方言でコミュニケーションを楽しんでみてください。
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