
介護費用はどれくらい?平均いくらになるかを在宅と施設に分けて詳しく紹介
両親に介護が必要になったときや、自分が介護される側になったとき、費用はいくら用意しておけばいいのでしょうか。 介護費用は、在宅と施設での介護などによって変動します。本記事では、介護費用の平均や在宅と施設での違いなどを解説します。
介護費用の平均

介護費用において、介護保険や介護特約の給付金の平均は世帯主が毎月7.6万円、配偶者が毎月6.9万円です。また、公的な介護保険の範囲外で介護に必要な金額は、初期費用として234万円、毎月15.8万円です。
介護の必要期間は平均15年1ヵ月で、これらのデータから介護費用の総額は3,311万円と考えられます。
在宅介護にかかる費用の平均
生命保険文化センターの調査によると、在宅介護にかかる費用の平均は毎月4.8万円でした。在宅介護は、老人ホームなどの施設での介護よりも毎月の費用は少ないといえるでしょう。
しかし、介護用ベッドを購入する、バリアフリーのための手すりを取付けるなど、初期費用が大幅にかかる可能性があります。同調査では、在宅介護の初期費用に必要な費用は平均で74万円でした。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」施設での介護にかかる費用の平均
同調査によると、老人ホームなどの施設での介護にかかる費用は毎月12.2万円でした。介護の必要度が高い場合や自宅で介護に対応できる人がいない場合は、施設での介護が必要になります。
また、生命保険文化センターによると在宅で介護をおこなった人は56.8%、施設で介護をおこなった人は41.7%でした。要介護度が低いほど在宅の割合が高く、要介護度が高いほど施設での介護の割合が高くなります。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」介護の要した期間
介護の要した期間は4~10年未満と回答した人が31.5%ともっとも多く、次いで10年以上が17.6%、さらに3~4年未満が15.1%、2~3年未満が12.3%という結果が出ました。
介護が始まってから終わるまでの期間は年齢や必要な介護などによっても大きく変動し、長期間に及ぶ可能性もあります。毎月必要な費用を計算し、何年分の備えがあるかを考えておくことも大切です。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」介護費用の自己負担額は1~3割
介護費用は、かかった金額が全額自己負担になるわけではありません。年齢にもよりますが、公的介護保険では1~3割が自己負担となっています。
40~65歳未満は自己負担額は1割で、65歳以上の介護費用の自己負担額は所得などの一定の条件によって1~3割と定められています。本人の収入のほか、単身世帯の収入、二人以上の世帯の収入などで細かく条件が異なるので、詳しくは厚生労働省のリーフレットなどを確認しましょう。
介護保険制度と費用の自己負担額

在宅で介護を受ける際、介護費用には公的保険の居宅サービス制度を利用できます。費用限度額を超えてサポートを受ける場合は、全額自己負担になるので注意しましょう。
この居宅サービスには区分支給限度額が指定されており、要介護度によって限度額が変動します。それぞれの限度額と自己負担額を見ていきましょう。
要支援1
要支援1の居宅サービスの利用限度額は、毎月5万320円です。自己負担額1割の場合は5,032円、2割の場合は1万64円、3割の場合は1万5,096円です。
要支援1のレベルは基本的な日常生活は自分でできるものの、一部の作業に見守りやサポートが必要な段階です。利用するサービスも少ないため、限度額の範囲内で済むことも多いでしょう。
要支援2
要支援2の居宅サービスの利用限度額は、毎月10万5,310円です。自己負担1割の場合は1万531円、2割の場合は2万1,062円、3割の場合は3万1,593円になります。
要支援2のレベルは筋力が衰え、歩行や立上がりにサポートが必要な段階です。介護支援が必要になる可能性が高いため、居宅サービスを活用する必要があるでしょう。
要介護1
要介護1の居宅サービスの利用限度額は、16万7,650円です。自己負担1割の場合は1万6,765円、2割の場合は3万3,530円、3割の場合は5万295円となります。
要介護1のレベルは立上がりや歩行だけでなく、日常生活の一部にも介助が必要な段階です。認知機能の低下も見られる場合も、要介護1に指定されます。
要介護2
要介護2の居宅サービスの利用限度額は、19万7,050円です。自己負担が1割の場合は1万9,705円、2割の場合は3万9,410円、3割の場合は5万9,115円となります。
要介護2のレベルは要介護1より日常生活における動作にケアやサポートが必要で、認知機能の低下がみられる段階です。
要介護3
要介護3の自己負担額は、27万480円です。1割負担の場合は2万7,048円、2割負担の場合は5万4,096円、3割負担の場合は8万1,144円となります。
要介護3のレベルは日常生活全般において動作にサポートが必要で、立上がり、歩行に杖や歩行器、車いすが必要なレベルです。認知機能が低下し、見守りが必要な場合も要介護3に指定されます。
要介護4
要介護4の居宅サービスの利用限度額は、30万9,380円です。1割負担の場合は3万938円、2割負担の場合は6万1,876円、3割負担の場合は9万2,814円が自己負担額です。
要介護4は、要介護3以上に生活のあらゆる面でサポートが必要となります。認知機能が低下し、思考力や理解力も大幅に落ちている場合も要介護4に該当します。
要介護5
要介護5の居宅サービスの利用限度額は、36万2,170円です。自己負担額が1割の場合は3万6,217円、2割の場合は7万2,434円、3割の場合は10万8,651円です。
要介護5は日常生活全体をとおして介助を必要とするレベルで、コミュニケーションを取るのも難しい状態が該当します。
高額介護サービス費の受給条件と金額

介護費用の自己負担額は1~3割に抑えられますが、それ以上のサービスを利用した費用は全額自己負担になってしまいます。ですが、1ヵ月の自己負担額の合計が高額になった場合には介護費用の高額介護サービス費が適用されます。
受給条件 |
限度額(月額) |
非課税の世帯 |
2万4,600円 |
課税所得が課税所得380万円までの世帯 |
4万4,400円 |
課税所得690万円までの世帯 |
9万3,000円 |
課税所得690万円以上の世帯 |
14万100円 |
高額介護サービス費は、現住所がある市区町村の自治体に申請する必要があります。居宅サービス利用限度額以上の費用を支払った場合に申請書が送付されるので、忘れずに申請をおこないましょう。
介護費用は年金でまかなえる?

将来の介護費用を考えた際に、年金でまかなえるか気になる方も多いのではないでしょうか。必要な介護費用を予測したうえで受取れる年金額を確認し、貯蓄や資産運用、ローンの利用なども検討していきましょう。
受け取れる年金額を確認しておく
まずは、自分が将来受取れる年金額を確認しましょう。日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」では、いつでも自分の年金額を確認できます。
厚生労働省のホームページでは、働き方や暮らし方といった生活の変化に応じて将来受取る年金額を試算できる「公的年金シミュレーター」も公開されているので、ぜひ利用してみてください。
自分だけでなく、親や身内などに介護が必要になった際の資産形成にも役立ちます。
民間の介護保険は無理のない範囲で
公的年金や貯蓄だけで介護費用を補うのが不安な場合、民間の介護保険に加入するという選択肢もあります。ですが日本は公的保険が充実しており、自己負担額1割で介護費用をまかなえる可能性もあります。
高額な介護保険に加入して貯蓄がままならなくなるケースも考えられるため、民間の介護保険は自分に本当に必要かをよく考えましょう。加入する場合は無理のない範囲で、本当に必要な内容のみ契約するのがおすすめです。
年金で補えない場合は資産運用も検討する
年金額を確認し、年金と貯蓄だけでは介護費用をまかなえないと感じたら、資産運用を取入れることもおすすめです。介護費用を用意するためにおすすめの資産運用方法を3つ紹介します。
iDeCo
iDeCoは原則60歳まで引出せない個人型確定拠出年金の制度で、老後費用の準備に向いています。掛金は全額所得控除の対象になるので、所得税や住民税の負担軽減にも役立ちます。
また、運用中の利益には税金がかからないため、長期投資において複利を最大限に活かすことも可能です。受取り時にも退職所得控除、公的年金等控除の制度を利用でき、資産形成だけでなく税金面でも有利です。
NISA
NISAは小額投資非課税制度のことで、投資で得た運用益が全額非課税になる点が特徴です。年間で最大360万円、生涯で1,800万円までと制限はあるものの、長期で積立て投資をおこなうことでリスクを分散しながら資産形成を続けられます。
毎月少額の費用からスタートでき、iDeCoのように引き出す年齢も定められていないため、投資初心者もチャレンジしやすい制度の一つです。
貯蓄型保険
貯蓄型保険はけがや病気など万が一のリスクに備えた保険と、将来に向けた貯蓄を同時に備えられる仕組みです。リターンは高くないもののリスクが少ない商品が多く、安定して資産形成をしたい方におすすめです。
保険料を定期的に支払うことで貯蓄を続けられるので、貯金が苦手な方でも無理なく続けやすいでしょう。保険料は生命保険料控除の対象となるため、所得税などの節税にも役立ちます。
フリーローンの利用を検討する
親が倒れて急遽介護費用が必要になったなどの場合は、フリーローンの利用も検討しましょう。フリーローンは使いみちが自由なローンのことで、介護費用のほかバリアフリーなど自宅のリフォーム費用などさまざまな面で資金を用意できます。
カードローンと比べると金利が低いものもあり、無理のない返済計画を立てやすいのもメリットです。あらかじめ返済計画を明確にしておき、無理のない範囲でローンを申込みましょう。
足利銀行のフリーローンについてはコチラからご確認ください。
あしぎんフリーローンまとめ

将来に備えて両親や自分の介護費用の準備を始めるなら、介護には平均してどれくらいの費用がかかるのか、年金や貯蓄で補えるのかなどを確認することが大切です。
介護費用は老人ホームなどの施設を利用するかによっても必要なお金は大きく異なるため、余裕のある試算が必要です。
年金や貯蓄だけでは不安な方は、資産運用やフリーローンの利用なども検討し、万が一の際に備えましょう。
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