
児童手当がもらえるのはいつまで?申請方法や必要書類、支給される金額まで紹介
児童手当とは、中学生までの子供を育てている世帯が受け取れる給付金のことです。子育て支援の代表的な制度ですが、「児童手当がもらえるのはいつまで?」「受け取れる額や条件は?」と気になることがある方も多いと思います。今回は、児童手当の申請方法や必要書類、支給される金額まで細かく紹介していきます。
Supervisor監修者
2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者荒井 美亜
立教大学大学院経済学研究科卒業。
「ささいな疑問や悩みを拾い上げ、前に進む原動力に変える」ことを目標に、金融分野を中心にライター活動中。
日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。
児童手当とは

児童手当とは、中学生(15歳の誕生日後の初めの3月31日まで)までの児童を養育している家庭に支給される制度です。
児童手当は代表的な子育て支援策のため名前は聞いたことがある方も多いかもしれませんが、具体的にどのような支援制度なのか知っておきましょう。
児童手当はいつまで受け取れる?
児童手当は、一体いつまで受け取れるのでしょうか?その期間は、0歳から中学生を終えるまで(15歳の誕生日後の初めの3月31日まで)です。
2024年10月から児童手当が受け取れる期間を高校生まで拡充すると報道されていますが、2023年8月現在の期間は中学生までとなっています。
児童手当は毎月振り込まれるわけではありません。以下のように、4ヵ月分の児童手当を年3回に分けて支給する仕組みです。
支給月 | 支給対象月 |
10月 | 6月から9月分 |
2月 | 10月から1月分 |
6月 | 2月から5月分 |
また、詳しくは後述しますが、児童手当は認定請求をしないと支給されません。児童手当は手続き=認定請求をした翌月分から支給対象となりますが、認定請求のタイミングによっては直近の支給日に受け取れないケースもあります。
例えば、1月に認定請求をした場合2月分からが支給対象となるため、児童手当を実際に受け取れるのは6月までずれ込むことになります。児童手当が受け取れない間、手元のお金に不足が生じないよう事前に貯蓄をしておいたり、他の子育て支援策も併せて使いましょう。
児童手当と並ぶ代表的な子育て支援策に出産支援策があります。関連記事もご参照ください。
また、以下の場合は児童手当が振り込まれないので注意してください。
- 現況届(必要添付書類を含む)の提出が必要な条件に該当するにもかかわらず、提出されていない
- 児童の転居等により住民票が別世帯となったが、必要な届け出がなされていない
- 振込口座の名義、口座番号等の変更や誤りにより振込ができない
手続きを済ませてもなかなか振込がない場合は、上記に該当している可能性があるため、一度問い合わせてみることをおすすめします。
児童手当の支給額
児童手当の支給額(月額)は以下のとおりです。ただし、詳しくは後述しますが、所得が一定額未満である必要があります。
また、1世帯に15歳以下の子供が複数人いる場合、3歳未満では一律1万5,000円ですが、3歳以上になると1人目、2人目と3人目以降は支給額(月額)が異なります。(中学生になれば同額に戻る)
3歳未満 | 1万5,000円 |
3歳以上から小学校修了前(第1子・第2子) | 1万円 |
3歳以上から小学校修了前(第3子以降) | 1万5,000円 |
中学生 | 1万円 |
収入が一定額以上の場合は支給額が減る
収入が一定額を上回る世帯に該当すると、児童手当の支給額が月額5,000円まで減ったり、支給されなくなったりします。
なお、一定額=所得制限限度額は、子供や年収103万円以下の配偶者など(扶養親族等)の人数によって決まる仕組みです。
扶養親族等の数 | 所得制限限度額 (手当が特例給付になる基準額) |
所得上限限度額 (手当が支給されなくなる基準額) |
0人 | 622万円 | 858万円 |
1人 | 660万円 | 896万円 |
2人 | 698万円 | 934万円 |
3人 | 736万円 | 972万円 |
4人目以降 | 1人につき38万円ずつ加算 | 1人につき38万円ずつ加算 |
児童手当の支給方法
児童手当は、申請者(子供の養育をしている方)の銀行口座に振り込まれる仕組みです。予め公金受取口座を設定している場合、同じ口座に振り込んでもらうこともできます。
児童手当の申請方法

児童手当は、対象となる子供が生まれても自動的に支給されるわけではありません。受給するためには、申請を行う必要があります。ここからは、必要書類や申請のタイミングについて解説します。
必要書類と提出先は?
児童手当申請のための必要書類は後述しますが、提出先は申請者の居住地の役場となります。
申請に必要な書類
第一子が生まれ、新規で申請する際の必要書類は以下のとおりです。
認定請求書 | 市区町村のWEBサイトからダウンロードもしくは市区町村役場の窓口で受け取る。 |
申請者(児童を養育する方)名義振込口座の通帳またはキャッシュカードのコピー | 銀行名・支店名・口座番号・名義が分かる部分を用意。公金受取口座を利用する場合は省略可能 |
本人確認書類のコピー | マイナンバーカード(個人番号カード)や運転免許証など |
請求者・配偶者の個人番号確認書類のコピー | マイナンバーカード(個人番号カード)や個人番号記載の住民票を用意 |
その他必要な書類 | 単身赴任で児童と別居している場合、子供が海外留学している場合、両親が海外にいるために祖父母が養育している場合などは別途書類が必要になるので要確認 |
申請後、児童手当の受給資格が認定されたら認定通知書が送られてきます。申請日の翌月分から手当が支給される流れです。
ただし、出生日や転入日(前住所地での転出予定日)などの翌日から15日以内に申請した場合には、出生日や転入日などの翌月分からの支給となります。
また、以下に該当する場合は例年6月に現況届を提出しなくてはいけません。対象となった場合、案内が送付されてきます。
- 受給者と児童の住民票の住所地が異なる
- 配偶者からの暴力等により、住民票の住所地と異なる市区町村で児童手当等を受給している
- 戸籍や住民票に記載がない支給要件児童を養育している
- 離婚協議中で配偶者と別居している(同居優先)
- 法人である未成年後見人、施設、里親
- その他必要と認められた
公務員の場合は勤務先に申請する
公務員の場合、勤務先から児童手当が支給される仕組みです。子供が生まれたら勤務先の担当部署に問い合わせ、必要な手続きを進めましょう。また、以下の場合もその翌日から15日以内に現住所の市区町村と勤務先に届出が必要です。
- 公務員になった場合
- 退職等により、公務員でなくなった場合
- 公務員ではあるが、勤務先の官署に変更がある場合
書類の提出はいつまでに行うべき?
児童手当を受給するための手続き=書類の提出については、初めての子供でも第2子以降の子供でも、生まれた日(出生日)から15日以内に児童手当の申請をしなくてはいけません。
例えば、子供が4月1日生まれの場合、4月15日までに申請を済ませましょう。
対象となる子供であっても、手続き可能な期間に関する案内が届くわけではないので、タイミングを逃さないよう注意してください。そのため、出生届を出す際に一緒に手続きを済ませることをおすすめします。
児童手当のよくある使い道

児童手当のよくある使い道として、以下の2つを解説します。
- 大学・短期大学・専門学校の学費
- 子供の生活費
大学・短期大学・専門学校の学費に充てる
大学・短期大学・専門学校など高校卒業後の進学先での学費に充てるために、児童手当を貯金している方は多くいます。
0歳から15歳を迎え、中学生時代が終わるまで児童手当を積み立てれば、ある程度まとまった金額を用意できるからです。
また、そのまま貯金するのではなく、児童手当で受け取ったお金を学資保険の保険料として支払ったり、NISAで資産運用したりなどして将来的な学費に充てるケースも考えられます。
万が一のことがあっても学費を確保したい場合は学資保険を、効率よく増やしたい場合はNISAを使うなど、考え方や希望に応じて方法を選びましょう。NISAについてはこちらの記事で解説しています。
大学の初年度納入金はいつまで児童手当を貯めれば払える?
児童手当の使い道として学費の貯蓄が挙げられましたが、具体的にはいつまで児童手当を貯めれば大学の初年度納入金が払えるのでしょうか。文部科学省によれば、私立大学の初年度学生納付金の平均額は135万7,080円とのことでした。
児童手当を0歳から中学生卒業時(15歳になった年の最初の3月31日まで)まで使わずに貯めた場合、合計額は198万円(=1万5千円×36ヵ月+1万円×144ヵ月)になります。
そのため、一般的な文系学部・理系学部であれば十分賄うことが可能でしょう。
ただし、医学部や歯学部など学費が高額かつ卒業までの期間が長い学部の場合、児童手当だけで賄うのは厳しいかもしれません。
子供の生活費に充てる
一方で、児童手当は子供の生活費に充てるケースもあります。習い事や学習塾の費用など子供のための費用だけでなく、世帯の生活費に充てていることも珍しくありません。それぞれの家庭の状況に合わせ、望ましい使い方は異なるので、よく話し合って決めましょう。
まとめ

児童手当の受給を検討している方に向けて、受給期間や申請方法などについて解説をしました。また、児童手当の主な使い道についてもご紹介しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
子育て支援には、児童手当に限らず様々なものがあります。ただし、注意したいのは子育て支援策の大半は手続きが必要となる点です。
子育てにはある程度のお金がかかります。利用できる制度をもれなく使うためには、子供が生まれる前から活用できる子育て支援制度をチェックし、スムーズに手続きに移れるようにしておきましょう。
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