
年金定期便の見方は?年金額の計算の仕方や増やす方法もあわせて知っておこう
年金定期便は、国民年金や厚生年金に加入している人に対して毎年送付される、年金の記録が書かれた書類です。通常は誕生月にハガキで届きますが、35歳・45歳・59歳では封書で送られてきます。 本記事では、年金定期便とはどのようなものか、見方についても詳しく解説します。
年金定期便の見方の基本を解説

まずは、年金定期便の見方の基本を解説します。
年金定期便は基本は年齢によって内容が異なることもあるので、自分の年齢でどの内容の年金定期便が届くのかを正しく理解しておきましょう。
50歳未満の方の年金定期便の見方
50歳未満の方に届く年金定期便には、「これまでの保険料納付額」や「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。
しかし、この段階では将来の年金額の試算は含まれていません。自分の年金受給額を正確に知るには、日本年金機構の「ねんきんネット」などを活用して計算する必要があります。未納期間がある場合は、追加納付することで将来の年金額を増やすことも可能です。国民年金の未納期間が長い場合は、追納制度を活用して年金額を増やす方法もあります。
若いうちから自分の年金記録を定期的にチェックし、計画的に将来の準備を進めましょう。
35歳、45歳の方の年金定期便の見方
35歳と45歳の方には、通常の年金定期便より詳細な「年金加入履歴」が記載された特別な年金定期便が届きます。自分の年金加入状況をより詳しく把握でき、将来の年金額を見積もることも可能です。
過去の未納期間や転職による年金制度の変更点などが記載されているので、間違いがないかチェックしておきましょう。
この年齢で企業年金や確定拠出年金(DC)などの追加制度を利用することで、老後の収入を増やす対策もできます。将来の資産形成の計画を立てるためにも、年金定期便の内容を正しく把握しておきましょう。
50歳以上の方の年金定期便の見方
50歳以上の方の年金定期便には、60歳まで現在の加入状況が続いた場合の「年金見込み額」が記載されています。受給開始時にどの程度の年金が支給されるのか、具体的に把握することが可能です。
50歳を過ぎると、具体的に老後について考える必要が出てくるので、この年金定期便の内容をもとに年金の受給タイミングや追加の資産形成を検討しましょう。
また、60歳以降も働く場合の年金受給額についても知っておくと、より計画的な準備を進められます。企業年金や退職金の有無なども総合的に考え、老後の資金計画を立てていきましょう。
59歳の方の年金定期便の見方
59歳になると、翌年の年金請求手続きに向けた準備が本格化します。59歳になると届く年金定期便には、年金請求のための案内や年金受給額の詳細な試算が記載されており、実際の請求手続きを進める際に役立ちます。
年金の受給開始時期を60歳・65歳・70歳のいずれにするかで受給額が変わるため、慎重に判断しましょう。年金の繰り下げ受給を選択すれば年金額が増える仕組みもあるため、生活資金に余裕がある場合は繰り下げ受給も検討することがおすすめです。
59歳で届く年金定期便は、年金受給開始までの最後の調整段階として、しっかり確認しておきましょう。
年金定期便の見方がわかる用語集

年金定期便にはさまざまな情報が記載されていますが、正しい見方をするためには用語を理解しておく必要があります。年金定期便に記載されている用語について詳しく解説するので、年金定期便を確認する際の参考にしてみてください。
「照会番号」とは
照会番号は年金定期便に記載されている個別識別番号で、日本年金機構への問い合わせ時に必要になる大切な番号です。年金記録の訂正や詳細な情報確認をする際に使うため、正確に把握しておく必要があります。
照会番号は一人ひとり異なる番号が割り振られており、個人の年金情報と紐づけられています。年金記録に誤りがあった場合や未納期間の確認をする際にも必要になるため、年金定期便が届いた際には必ず確認しましょう。
この紹介番号は他人に知られないように大切に保管し、紛失した際は日本年金機構へ早めに問い合わせることがおすすめです。
「これまでの加入実績に応じた年金額」とは
「これまでの加入実績に応じた年金額」は、現在までの年金加入状況をもとに算出された、将来受け取る年金額の試算値です。年金定期便が届く時点での納付実績に基づいて算出され、今後の保険料納付状況によって増減する可能性があります。未納期間がある場合は受給額が減ってしまうため、未納がないように注意しておきましょう。 年金額を増やすには、付加年金や任意加入制度の活用がおすすめです。国民年金基金や企業型確定拠出年金(DC)などの制度によって、老後の生活資金をより安定させられるでしょう。
「最新の月別状況です」とは
「最新の月別状況です」は直近一年間の保険料納付状況を示したもので、毎月の納付履歴を確認できます。保険料が正しく納付されているか、未納や免除期間があるかをチェックすることが可能です。
未納期間がある場合は、そのままにしておくと将来の受給額が減ってしまうため、追納制度を利用して補填することがおすすめです。国民年金の未納期間が長くなると、老後の年金額が大幅に減少する可能性があります。また、厚生年金に加入している方は、会社の保険料負担割合も確認しておくことも大切です。
「これまでの保険料納付額(累計額)」とは
「これまでの保険料納付額(累計額)」は、これまでに支払った年金保険料の総額を示すものです。この額が多いほど、将来受け取る年金額も増加します。国民年金と厚生年金では計算方法が異なりますが、どちらも継続して保険料を納めることが大切です。
厚生年金加入者の場合は給与水準によって支払額が変わり、最終的な受給額も変動します。年金保険料を滞納すると受給資格期間が満たされない可能性があるため、納付状況を定期的にチェックし、必要に応じて未納分を追納しましょう。
「お客様のアクセスキー」とは
「お客様のアクセスキー」は日本年金機構の「ねんきんネット」にログインするためのキーで、オンライン上で詳細な年金情報を確認する際に必要です。年金定期便が届いた際には、このアクセスキーを利用して、自分の年金記録や納付履歴、将来の年金見込み額を確認しましょう。
アクセスキーは一定期間のみ有効なので、定期便を受け取ったら早めに利用することがおすすめです。万が一アクセスキーを紛失した場合でも、手続きをすれば再発行できます。
ねんきんネットに登録しておけば、毎年の定期便を待たずにいつでも最新の年金情報を確認できるため、必要な方は登録しておいてもいいでしょう。
年金定期便のハガキと封書の違いとは

年金定期便は、通常はハガキ形式で届きますが、35歳・45歳・59歳では封書形式で届きます。ハガキ形式は、主にこれまでの年金加入期間や直近一年間の保険料納付状況が記載されており、50歳以上の人には将来の年金見込み額が示されます。
一方、35歳・45歳・59歳の年には封書で届き、全加入履歴や各年ごとの納付実績、受給資格期間の詳細が記載されています。封書形式には老後の年金計画を立てるための重要な情報が含まれており、特に59歳時の年金定期便は受給直前の確認として大切です。
いずれの形式であっても記載内容をしっかり確認し、誤りがあれば早めに修正手続きをおこないましょう。
もらえる年金を増やす方法はある?

年金を増やす方法はいくつかあり、それぞれを計画的に取り入れることで老後の生活資金をより充実させられる可能性があります。
具体的にどのような方法があるのかチェックし、自分に合った方法を考えていきましょう。
年金受給開始時期を遅らせる
年金は原則65歳から受給できますが、受給開始時期を遅らせることで、受給額を大幅に増やすことが可能です。
たとえば、70歳まで繰り下げると、65歳で受給を開始する場合に比べて42%も増額されます。これは日本の公的年金制度における繰下げ受給の仕組みによるもので、一ヵ月繰り下げるごとに0.7%増える計算です。
繰り下げる期間が長いほど増額率は高くなりますがその間は年金を受け取れないため、生活資金を確保しておく必要があります。年金の繰り下げを選択しても、受給開始期間によっては損をする可能性もあるため、注意が必要です。貯蓄や退職金、他の収入源と併せて資金計画を立てたうえで、無理のない受給開始時期を考えることが大切です。
個人年金保険に加入する
個人年金保険は、公的年金に加えて老後の生活資金を用意できる資産形成の方法の一つです。一定期間保険料を支払い、契約満了後に年金形式で保険金を受け取れます。個人年金保険のなかには、税制優遇措置が適用される商品もあり、個人年金保険料控除を活用すれば、所得税や住民税の負担を軽減することも可能です。
契約内容によって受取方法や保証期間が異なるため、自分のライフプランに合った商品を選ぶことが大切です。長期的な資産運用の一つとして、早めに加入を検討するといいでしょう。
iDeCoに加入する
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を効率的に増やすための制度です。加入者が毎月一定額を拠出し、自分で選んだ投資信託や定期預金などの商品を運用して、60歳以降に受け取る仕組みになっています。
iDeCoの最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象となることです。iDeCoを活用すれば、毎年の所得税や住民税を軽減できます。さらに、運用益も非課税で、運用次第では公的年金以上のリターンを得られる可能性もあります。
ただし、iDeCoは原則60歳まで資金を引き出せません。運用リスクもあるため、リスク許容度を考慮しながら商品を選びましょう。
働く期間を増やす
定年後も働き続けることで、年金受給額を増やせます。60歳以降も厚生年金に加入し続ければ、老齢厚生年金の受給額が増えるのです。
さらに受給開始を遅らせることで、前述した繰り下げ増額のメリットも得られます。近年は定年延長や再雇用制度の充実により、65歳以上でも働き続けやすい環境が整っています。
健康状態やライフスタイルに応じて、無理のない範囲で働く期間を延ばすことを検討するといいでしょう。収入を得ながら社会とのつながりも維持でき、精神的な充実感を得られます。
まとめ

年金定期便には、将来の年金の受給額や現時点での納付状況など、年金に関する重要な内容が多数記載されています。毎年届く年金定期便を正しくチェックし、将来の資金計画に役立てましょう。
年金を増やす方法はいくつかありますが、自分のライフプランに合った方法を選ぶことも大切です。年金受給開始時期の繰り下げやiDeCoなどの制度を活用し、年金額を増やして老後の生活を豊かにすることも考えてみてください。
以下の記事では、老後のための資産形成に役立つ確定拠出年金について、企業型DCとiDeCoの違いを詳しく解説しています。自分に合った資産形成方法をより詳しく考えたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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