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【確定拠出年金】企業型DCとiDeCoの違いを解説!それぞれの仕組みとメリットとは

【確定拠出年金】企業型DCとiDeCoの違いを解説!それぞれの仕組みとメリットとは

老後の備えとして検討したいのが、確定拠出年金です。確定拠出年金には企業型確定拠出年金とiDeCoの2種類がありますが、それぞれの特徴や違いがよくわからないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、企業型確定拠出年金とiDeCoの違いやそれぞれのメリットをわかりやすく解説します。

2023年8月24日 ためる・ふやす・そなえる

Supervisor監修者

苛原 寛

1級FP技能士
苛原 寛

大学卒業後、東京海上日動火災保険株式会社に就職。法人営業部で保険提案を3年間行ったのちに独立。現在はフリーランスとして、お金に関するWeb記事の執筆や個人のライフプランニング作成、実行支援を行っている。

確定拠出年金とは

まずは、確定拠出年金の概要を解説します。

加入者自らが運用する年金制度

確定拠出年金は、掛金を加入者自身で運用する仕組みの年金制度です。加入は任意となっていて、自分自身で加入有無を決められます。運用したお金は一時金や年金形式で受け取ることができます。また、毎月の拠出額を決められるため、家計の都合に合わせた老後資金の準備が可能です。

企業型(企業型確定拠出年金)と個人型(iDeCo)の2種類がある

確定拠出年金の種類は「企業型確定拠出年金(企業型DC)」と「iDeCo」の2つです。それぞれ、加入対象者や拠出限度額などの仕組みが異なります。

企業型確定拠出年金とiDeCoの違い

企業型確定拠出年金とiDeCoの仕組みの違いを表した一覧表は以下のとおりです。

企業型DCとiDeCoの違い

企業型DC

iDeCo

加入対象者

企業型DCを実施する企業に勤務する従業員

国民年金の被保険者

拠出限度額

月5万5,000円(最高額)

月6万8,000円(最高額)

運用商品

投資信託・保険・定期預金等(会社が選んだ金融機関が取り扱う商品)

投資信託・保険・定期預金等(個人が選んだ金融機関が取り扱う商品)

税制優遇

加入者掛金は所得控除の対象、会社拠出分は非課税

掛金全額が所得控除の対象

積立期間

最長70歳未満まで

最長65歳未満まで

掛金支払方法

加入者掛金は給与天引き、会社拠出分は会社が拠出

給与天引きか口座へお振替

手数料負担者

原則企業負担

個人負担

手続き方法

会社を通して申込む

自分で金融機関へ申込む

各項目について、詳しく解説します。

加入対象者の違い

企業型確定拠出年金は、会社員や公務員を対象とした確定拠出年金です。そのため、企業型確定拠出年金を導入する会社の従業員は原則加入できます。ただし、会社ごとに加入対象者を限定している場合もあるため、勤務先の規定を確認しましょう。

一方、iDeCoは国民年金被保険者であれば原則加入可能です。ただし、一部加入できない人もいます。iDeCoの加入対象者は以下のとおりです。

iDeCoの加入対象者

区分

加入できる人

加入できない人

国民年金第一号被保険者

20歳以上60歳未満の自営業者やフリーランスとその家族、学生等

・農業者年金の被保険者

・国民年金保険料の納付免除を受けている人

国民年金第二号被保険者

厚生年金の被保険者(会社員や公務員等)

企業型DCのマッチング拠出をおこなっている人

国民年金第三号被保険者

厚生年金被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者

なし

国民年金任意加入被保険者

・60歳以上65歳未満で、国民年金保険料の納付済期間が480ヶ月に達していない

・20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金保険料の納付済期間が480ヶ月に達していない人

なし

iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の仕組み」

iDeCoは自営業者や専業主婦なども加入できます。ただし、企業型確定拠出年金のマッチング拠出(従業員が追加で掛け金を拠出すること)を行う人はiDeCoへ加入できないためご留意ください。

拠出限度額の違い

企業型確定拠出年金の拠出限度額は、会社が確定給付型の年金を実施しているかどうかで異なります。確定給付型年金とは、従業員の同意のもと、設定した年金給付額に対して必要な金額を会社が給付することをあらかじめ約束する制度です。企業型確定拠出年金の拠出限度額は以下のとおりになります。

企業型DCの拠出限度額
  • 確定給付型年金を実施していない会社:月5万5,000円(マッチング拠出含む)
  • 確定給付型年金を実施している会社:月2万7,500円(マッチング拠出含む)

会社が確定給付型年金を導入していない場合、月5万5,000円まで拠出可能です。一方で、確定給付型年金を導入している会社の会社員は、月に2万7,500円までしか拠出が認められません。

マッチング拠出とは、会社が拠出する掛金に上乗せして従業員が掛金を負担する仕組みです。マッチング拠出が可能かどうかは会社ごとの規定によって異なります。

一方、iDeCoは下記のように働き方などによって拠出限度額が異なるのも特徴です。

iDeCoの拠出限度額
  • 第一号被保険者(自営業者等):月6万8,000円
  • 第二号被保険者(会社に企業年金がない場合):月2万3,000円
  • 第二号被保険者(企業型DCのみに加入している場合):月2万円
  • 第二号被保険者(確定給付型年金と企業型DCに加入している場合):月1万2,000円
  • 第二号被保険者(確定給付型年金のみに加入している場合):月1万2,000円
  • 第二号被保険者(公務員等):月1万2,000円
  • 第三号被保険者(専業主婦等):月2万3,000円

自営業者は月6万8,000円を拠出できる一方で、確定給付型年金に加入する会社員は月1万2,000円しかiDeCoの拠出ができません。

運用商品の違い

企業型確定拠出年金は、勤め先の会社が選んだ金融機関の商品から投資先を選ぶ必要があります。一方で、iDeCoは自分で申込む金融機関を選ぶことが必要です。企業型確定拠出年金・iDeCoいずれも、運用商品は投資信託や定期預金、保険などとなります。

税制優遇の違い

企業型確定拠出年金の拠出額は本来、給与として受け取るお金です。給与として受け取れば住民税と所得税が発生します。ただし、企業型確定拠出年金の掛金として拠出すれば非課税です。

また、マッチング拠出で従業員が拠出したお金は所得控除の対象となります。そのため、事業主分の掛金・従業員負担分の掛金いずれも節税効果を得ることが可能です。

一方、iDeCoで拠出した金額は全額が所得控除の対象となります。企業型確定拠出年金とiDeCoはどちらも節税効果があることを覚えておきましょう。

さらに、企業型確定拠出年金とiDeCoはいずれも運用益が非課税となります。通常は運用で得た利益に20%の税金がかかりますが、企業型確定拠出年金とiDeCoでは運用益に対して課税がされません。

積立期間の違い

企業型確定拠出年金の積立期間は原則70歳まで、iDeCoは原則65歳までです。ただし、積立にはそれぞれの加入条件を満たしている必要があります。

掛金支払方法の違い

企業型確定拠出年金は、会社が拠出手続きを行います。また、マッチング拠出のお引落し方法は給与天引きです。そのため、自分で支払手続きを行う必要はありません。

一方で、iDeCoは原則口座振替で掛金を拠出します。お申込時に口座情報の提出が必要ですが、会社員や公務員は給与天引きも利用できます。

手数料の負担者と方法の違い

企業型確定拠出年金にかかる手数料は、会社負担の場合が多いです。一方で、iDeCoの手数料は個人での負担が必要となります。iDeCoにかかる主な手数料は以下のとおりです。

iDeCoの手数料
  • 加入・移管手数料(初回のみ):2,829円
  • 国民年金基金連合会への手数料(掛金拠出ごと):105円/回
  • 信託銀行への手数料(月ごと):66円/月

iDeCoの手数料は、掛金から差し引かれます。

手続き方法の違い

企業型確定拠出年金は、会社を通してのお申込みが必要です。会社から案内される手続きに従ってお申込みください。一方で、iDeCoは自分で金融機関を決めて申込みます。手数料や運用商品が金融機関によって異なるため、自分に合った金融機関を探してみてください。

企業型確定拠出年金とiDeCoの併用は可能?

企業型確定拠出年金とiDeCoの併用は可能です。ただし、企業型確定拠出年金を利用できるのは会社員や公務員のみとなっています。そのため、自営業者や専業主婦は企業型確定拠出年金とiDeCoの併用はできません。

また、マッチング拠出を行う人はiDeCoの利用ができないため、ご留意ください。

確定拠出年金のメリット

確定拠出年金で老後資金を用意するメリットを紹介します。

企業型確定拠出年金とiDeCo共通のメリット

企業型確定拠出年金とiDeCo共通のメリットは以下のとおりです。

企業型DCとiDeCo共通のメリット
  • 運用益が非課税となる
  • 節税効果がある
  • 一度設定したら自動で老後資金を運用できる

企業型確定拠出年金とiDeCoにおける最大のメリットは、運用益が非課税となることです。例えば、100万円の元本が資産運用で150万円に値上がりした場合、通常は約10万円(50万円×20%)の税金がかかります。

しかし、企業型確定拠出年金とiDeCoでは利益に対して税金がかかりません。確定拠出年金は、無駄なお金をかけずに老後資金を用意できる年金制度なのです。

また、節税ができることも確定拠出年金の特徴となっています。企業型確定拠出年金の事業主掛金は、本来給与として受け取るべきだった金額です。給与として受け取れば住民税と所得税がかかりますが、掛金として拠出すれば税金はかかりません。

さらに、企業型確定拠出年金のマッチング拠出分とiDeCoの掛金は全額が所得控除の対象です。そのため、所得税と住民税を安くできます。掛金の拠出により節税ができることも確定拠出年金の大きなメリットです。

そのほか、企業型確定拠出年金もiDeCoも金融商品の設定以降は自動で老後資金を運用できる点が魅力です。運用の負担が小さく済むので、定年後のライフプランに不安を抱えているものの、資産運用に不慣れな方におすすめしたい制度です。

企業型確定拠出年金のメリット

企業型確定拠出年金の主なメリットは以下のとおりです。

企業型DCのメリット
  • 手数料が会社負担となる
  • 申込み手続きが容易である

企業型確定拠出年金は手数料が会社負担となるため、効率良く資産運用ができます。また、勤め先の会社が制度を導入・管理しているためお申込み手続きなどをスムーズにおこなえます。

iDeCoのメリット

iDeCoの主なメリットは以下のとおりです。

iDeCoのメリット
  • 拠出限度額が高額である
  • 金融機関を自分で選べる

自営業者は、最大で月6万8,000円の掛金をiDeCoに拠出できる仕組みです。20年間、月に6万8,000円の拠出を続ければ元本だけでも資産額は1,632万円になります。拠出限度額の高さはiDeCoのメリットといえるでしょう。

また、iDeCoは申込む金融機関を自分で選べるため、運用したい商品への投資が可能です。

まとめ

企業型確定拠出年金とiDeCoは、加入対象者や積立可能期間、拠出限度額などが異なります。企業型確定拠出年金とiDeCoの併用も可能なので、ぜひ自分にあった確定拠出年金の使い方で老後資金の準備を始めてみてください。 

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