住宅ローンが通らない理由は?借入に必要な事や審査時に注意するべきことを詳しく解説
マイホームの購入を検討する際、住宅ローンの審査に通るか不安な人も多いのではないでしょうか。本記事では、住宅ローンの審査に通らない場合の理由と審査を通過するための対策を解説します。住宅ローンの審査を受ける際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
Supervisor監修者
1級FP技能士苛原 寛
大学卒業後、東京海上日動火災保険株式会社に就職。法人営業部で保険提案を3年間行ったのちに独立。現在はフリーランスとして、お金に関するWeb記事の執筆や個人のライフプランニング作成、実行支援を行っている。
住宅ローンの審査は2つ
住宅ローンの審査は、「事前審査(仮審査)」と「正式審査(本審査)」の2種類です。それぞれの審査の特徴を紹介します。
事前審査
事前審査は、金融機関が申込者に融資できるかを判断するための審査です。購入したい物件が見つかれば、物件購入前でも審査を受けられます。金融機関が確認する主な点は、申込者の返済能力(年収や勤務年数など)です。
必要書類も少なく、比較的スピーディーに審査結果がわかります。申し込みをする金融機関にもよりますが、基本的に数日間で審査結果の出る場合が多いです。
正式審査
正式審査は、不動産の売買契約が完了したあとに行う審査です。事前審査に通った人のみが正式審査を受けることができ、審査結果が出るには数週間かかります。正式審査で確認する項目は、事前審査で確認した内容に加えて購入物件の詳細などです。
正式審査で申込者の返済能力や購入物件の評価に問題がなければ、住宅ローンを契約できます。また、正式審査の評価に応じて住宅ローンの金利が変動することも多いです。
住宅ローンが通らない時に考えられる7つの理由
住宅ローンの審査は、誰でも通るわけではありません。住宅ローンの審査に通らない場合に考えられる、7つの理由を解説します。
信用情報に傷がある
住宅ローンの審査に通らない場合、信用情報に傷があることが考えられます。信用情報とは、クレジットカードやローンなどの支払い状況が記録された情報です。JICCやCIC、KSCといった信用情報機関が、信用情報を管理しています。
住宅ローンの申し込みを受けた金融機関が、信用情報機関に申込者の信用情報を確認する仕組みです。そのため、過去にクレジットカードの不払いやローンの返済遅延などの問題があると、住宅ローンの審査に通らないことがあります。
勤続年数が短い
今勤めている会社の勤務年数が短い場合も、住宅ローンの審査に通らない理由の1つとなる可能性があります。金融機関は、借入を希望する人に長期的な返済能力があるかを確認します。勤続年数が短い人は、長期間勤めている人に比べて返済能力が低いと判断されやすいです。
そのため、勤務期間が短いと、住宅ローンの審査に通らなかったり、融資を受ける際の金利が高くなったりすることがあります。
収入が安定していない
住宅ローンの借入を希望する人の収入が不安定な場合も、住宅ローンの審査に通らない理由になり得ます。住宅ローンの申し込みを受けた金融機関は、長期的に安定して返済ができる人に融資を行うものです。
そのため、フリーランスや自営業者といった収入が不安定な人よりも、会社員などの収入が安定している人の方が、金融機関は安心して融資を行うことができます。ただし、自営業者でも所得が安定している場合は、住宅ローンの借入ができる確率は高くなります。
また、会社員だからといって、必ず融資を受けられるというわけではありません。一般的に年収が低ければ、住宅ローンの審査に通りづらいです。収入の水準と安定性、どちらも確認されることに注意してください。
返済比率が高い
住宅ローン申し込み時の返済比率が高いことも、審査に通らない理由の1つとなります。返済比率とは、住宅ローンの1ヶ月当たり予定返済額を世帯月収で除した数値です。世帯月収が40万円で毎月の住宅ローン返済額は10万円の場合、返済比率は25%(10万円÷40万円)となります。
返済比率が高いほど、基本的には審査に通りづらいです。住宅ローン利用者における返済比率の相場は、以下のとおりとなります。
返済比率 |
割合 |
10%未満 |
4.5% |
10%以上15%未満 |
10.9% |
15%以上20%未満 |
19.2% |
20%以上25%未満 |
23.3% |
25%以上30%未満 |
28.2% |
30%以上 |
13.9% |
出典:住宅金融支援機構「2021年度フラット35利用者調査」
このとおり、返済比率は25%以上30%未満の人が最も多いです。一方で、返済比率が15%未満の人も15.4%います。住宅ローンの審査に通らない人は、返済比率を下げられるかどうかも検討してみてください。
購入する物件の価値が低い
購入する物件の価値が低い場合、住宅ローンの審査に通らないことがあります。住宅ローンは、返済期間内にローンを返済できなくなった場合に、金融機関が購入物件を差し押さえることが一般的です。
ただし、差し押さえた物件の価値が低いと、金融機関はローンで返済されなかったお金を取り戻せません。そのため、購入予定のマイホームの価値が低いと判断された場合は、住宅ローンの審査に通りづらくなります。
完済年齢が80歳を超えている
完済年齢が80歳を超えている場合、住宅ローンでの借入ができないことがあります。金融機関によって住宅ローン完済年齢の上限は異なりますが、80歳を上限に設定しているところが多いです。また、一般的に完済予定年齢が高齢になるほど借入はしづらくなります。
国土交通省によると、住宅ローンの融資を行う際に金融機関が考慮している上位5項目は以下のとおりです。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 担保評価
- 勤続年数
出典:国土交通省住宅局「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
このとおり、住宅ローン融資にあたって最も重視する項目として、「完済時年齢」が挙げられています。そのため、完済年齢を80歳超で設定して審査に落ちた人は、完済年齢を短くして再度申し込みをしてみてください。
健康状態が良くない
住宅ローンの申し込みにあたっては、基本的に健康状態の告知が必要です。団体信用生命保険に加入するため、金融機関が用意する告知書へ、健康状態を記載します。団体信用生命保険への加入が住宅ローン利用の条件となっていることがほとんどです。
審査基準は団体信用生命保険の保険会社によって異なりますが、直近で病気にかかったり手術を受けたりしていると、審査に落ちることがあります。
健康状態の問題で審査に落ちた場合は、ほかの金融機関での住宅ローンの申し込みや、期間を空けての再申込を検討してみてください。
住宅ローンの審査に通過するための対策4つ
住宅ローンの審査に通るためには対策が必要です。ここからは、住宅ローンの審査に通過するための対策を4つ紹介します。
信用情報に傷をつけない
住宅ローンの審査を検討している場合には、信用情報に傷をつけないようにしましょう。信用情報とは、過去のクレジットカードやローンの支払い履歴が蓄積された情報です。クレジットカードの不払いやローンの返済遅延などがあると、住宅ローンの審査に通らない可能性が高くなります。
また、信用情報は確認が可能です。CICなどの信用情報機関に問い合わせることで、自分の信用情報を確認できます。現在の自分の信用情報に傷がないかを知りたい人は、ぜひ信用情報機関へ問い合わせてみてください。
他に借りているローンの返済を終わらせる
住宅ローンの審査では、金融機関が申込者の借りている他のローン状況も確認します。カーローンや教育ローンなどのさまざまなローンを借りていて、ローン合計額が高額な場合、住宅ローンの審査に通らない可能性が高いです。
そのため、多数のローンを借入れている人は、住宅ローンの審査前にできるだけ他のローンの返済を終わらせましょう。
住宅ローンの借入額を少なくする
住宅ローンの審査に通りたい人は、できるだけ借入額を少なくしましょう。原則、住宅ローンの審査は借入額が少ないほど通りやすいです。そのため、住宅ローンを確実に借りたい人は、購入する物件の金額を安くすることを検討してみてください。
また、世帯年収に対する物件の金額を表す「年収倍率」の2021年度における平均は、以下のとおりです。
購入する物件の種類 |
年収倍率 |
土地付注文住宅 |
7.5倍 |
マンション |
7.2倍 |
建売住宅 |
7.0倍 |
注文住宅 |
6.8倍 |
中古マンション |
5.8倍 |
中古戸建 |
5.7倍 |
出典:住宅金融支援機構「2021年度フラット35利用者調査」
例えば、世帯年収500万円の世帯がマンションを購入する際の購入金額の相場は3,600万円です。物件の購入金額を決める際は、上記の表の内容も考慮して購入金額を決めてみてください。
頭金を多く用意する
頭金を多く用意することも、住宅ローンの審査に通るためのコツです。住宅購入資金すべてを借入に頼るのではなく、一定の資金を予め自分で用意しましょう。頭金を多く用意することで住宅ローンで借りる金額を抑えられ、審査に通りやすくなります。
住宅ローンの審査に関する2つの注意点
住宅ローンの審査を受ける際に意識すべき注意点を2つ紹介します。
虚偽の申告をしない
住宅ローンの審査では、当然ながら虚偽の内容を申告しないよう注意しましょう。金融機関は申込者の申込内容に基づき、融資有無や金利の決定を行うため、告知内容が事実かをしっかりと確認します。
そのため、虚偽の申請をしても審査段階で見抜かれることが多いです。虚偽の申告をして審査に受かったとしても借入後に虚偽が発覚した場合、住宅ローンの契約が解除され借入金額全額の返済を求められる場合もあります。
住宅ローンの借入を問題やトラブルなく行うには、正確な告知が必須であることを覚えておきましょう。
転職をしない
住宅ローンの借入を希望する場合、転職をしないように注意してください。多くの金融機関は、住宅ローンの審査において勤続年数の確認を行います。
転職をすると、転職先での短い勤続年数で判断されてしまうため、審査の通過には不利になってしまいます。
よって、転職予定がある場合には、事前に金融機関に相談するのが良いでしょう。転職のタイミングや住宅ローンの申し込み時期についてアドバイスがもらえるはずです。
まとめ
住宅ローンの審査に通らない場合は、改めて申込内容を見直してみると良いでしょう。問題点を解消できれば、審査に受かるかもしれません。ぜひ、本記事で紹介した住宅ローンの審査に通らない理由や審査に通るためのコツを参考にして、審査通過を目指してみてください。
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