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相続税は節税できる!押さえておきたい具体的な対策方法10選&注意点を解説

相続税は節税できる!押さえておきたい具体的な対策方法10選&注意点を解説

相続税は事前に対策することで、納税額を減らせます。ただし、「税金のことは難しくてどのように対策すればいいかわからない」と悩む人も多いかもしれません。そこで本記事では、相続税への10の対策方法と注意点をわかりやすく解説します。

2023年9月15日 ためる・ふやす・そなえる

Supervisor監修者

苛原 寛

1級FP技能士
苛原 寛

大学卒業後、東京海上日動火災保険株式会社に就職。法人営業部で保険提案を3年間行ったのちに独立。現在はフリーランスとして、お金に関するWeb記事の執筆や個人のライフプランニング作成、実行支援を行っている。

相続税とは

相続税とは、亡くなった人(被相続人)の遺産を受け取る人(相続人)が納める税金です。納める相続税の金額は、遺産額や相続人の人数、被相続人と相続人の関係性などによって決まります。

相続税の対策方法10選

相続税は、生前に対策をすることで節税が可能です。相続税に関する負担を減らすための具体的な対策を10個紹介します。

相続税対策①生前贈与する

相続税対策1つ目は、「生前贈与」です。被相続人が死亡する前に相続人へ財産を贈与する方法をとることで、相続税を減らせます。生前贈与の課税制度には「暦年贈与課税」と「相続時精算課税」の2種類があるため、それぞれの特徴を確認しましょう。

暦年贈与課税

暦年贈与課税では、1年間(1月1日から12月31日)に贈与した金額が110万円以内であれば贈与税がかからず、税務署への申告も不要です。そのため、年間110万円以内を相続人に贈与することで、税金をかけずに資産を残すことができます。

また、年間の贈与金額が110万円を超えた部分にかかる税金は以下のとおりです。特例贈与とは18歳以上の者が直系尊属から受け取る場合の贈与を指し、一般贈与はその他の場合の贈与を指します。

特例贈与(18歳以上の人が父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合)

贈与金額から110万円を差し引いた後の金額(特例贈与)

税率

控除額

200万円以下

10%

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,5000万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

一般贈与(18歳以上の人が父母や祖父母などから贈与を受ける場合以外の贈与)

贈与金額から110万円を差し引いた後の金額(一般贈与)

税率

控除額

200万円以下

10%

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

例えば、20歳の孫に祖父が250万円の贈与をした場合(孫がその年に受け取った贈与は本贈与のみとする)、発生する贈与税は14万円((250万円-110万円)×10%)です。

相続時精算課税

相続時精算課税は、生前贈与時に2,500万円までの贈与が非課税となり、実際に相続が発生した際に生前贈与した財産に相続税が課される制度です。

相続税が発生する点では通常の相続と変わりませんが、この制度の特徴は「相続税の計算時に利用する相続税評価額が生前贈与時の価格となること」です。

そのため、将来値上がりが期待される株式や不動産などを相続時精算課税を使って生前贈与すれば、相続税計算時の資産評価額を抑えられ、結果的に相続税の節税になります。

ただし、相続時精算課税は原則60歳以上の父母か祖父母が18歳以上の子や孫に生前贈与する場合のみ使える制度です。それ以外の場合は、原則本制度は利用できないため注意しましょう。

また、本制度を適用するには税務署への「相続時精算課税選択届出書」などの提出が必要です。

相続税対策②生命保険を利用する

相続税対策2つ目は、「生命保険の利用」です。

非課税枠の利用

亡くなった人(被相続人)が保険料を負担していた生命保険の保険金は、一定額が非課税となります。非課税となる金額は「法定相続人の人数×500万円」です。例えば、法定相続人が妻と子の2人の場合、生命保険金1,000万円(2人×500万円)までが非課税となります。

そのため、生前に生命保険に加入して保険料を自分で負担すれば、相続税の節税が可能です。ただし、非課税額を利用できる生命保険契約は死亡保険金の受取人が遺産を受け取る人(相続人)となっている契約のみのため注意しましょう。

子や孫の生命保険料の支払い

子や孫が被保険者の生命保険を、親や祖父母などの被相続人となる人が契約者となって保険料を支払うことで節税に繋がる場合があります。生命保険の相続税評価額は、相続時の解約返戻金相当額です。解約返戻金とは、契約を途中で解約した場合に受け取れる金額を指します。

生命保険のなかには契約初期において解約返戻金がかなり抑えられているものも多くあるため、これらの生命保険を解約返戻金が少ない時点で相続人に相続できれば相続税の節税が可能です。

相続税対策③教育資金を一括贈与する

相続税対策3つ目は、「教育資金の一括贈与」です。親や祖父母などが、前年所得が1,000万円以下かつ30歳未満の子や孫へ教育費を一括で贈与した場合に、一定額が非課税となります。

学校への入学金や給食費などに使うお金は1,500万円まで、塾などの学校外の教育に使うお金は1,000万円までが非課税です。子や孫が学校に通っている場合などは、本制度の利用を検討してみてください。

ただし、教育資金の一括贈与を受けた子や孫が30歳になった時点で贈与を受けた金額を使い切っていない場合、残った金額に対して贈与税がかかるため注意が必要です。あくまでも、教育資金として使う見込みのある金額のみを贈与しましょう。

相続税対策④結婚・子育て資金を一括贈与する

相続税対策4つ目は、「結婚・子育て資金の一括贈与」です。18歳以上50歳未満の人が、結婚や子育て資金として父母や祖父母から贈与を受けた場合、最大で1,000万円(うち結婚費用は300万円まで)が非課税となります。

結婚費用には挙式費用や新居の敷金などが含まれ、子育て資金に含まれるのは子の医療費や保育所の保育料、不妊治療に要する費用などです。ただし、贈与をした父母や祖父母が亡くなった時点でまだ贈与したお金が残っている場合には、残額に対して相続税が課されるため注意しましょう。

相続税対策⑤住宅取得時資金贈与の特例を利用する

相続税対策5つ目は、「住宅取得時資金贈与の特例の活用」です。父母や祖父母などから、住宅の新築や取得に必要なお金を贈与してもらった場合に、一定額が非課税となります。

非課税額は、取得した物件が省エネ等住宅の場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合には500万円です。本特例の利用には、物件の床面積や子や孫の所得制限などもあるため、利用する際は制度の対象となるかを事前に確認してみてください。

相続税対策⑥仏具やお墓を生前に購入する

相続税対策6つ目は、「仏具やお墓の生前購入」です。通常、仏具やお墓には相続税がかかりません。そのため、生前に自分で仏具やお墓を購入すれば遺産総額を減らすことができ相続税対策になります。

ただし、仏具やお墓の中でも骨董品のような価値があるものや投資対象となるものは相続税が発生するため注意しましょう。そのため、すべてが金でできた仏具などは一般的に相続税の非課税対象とはならず、相続税が発生します。

相続税対策⑦基礎控除額を増やす

相続税対策7つ目が、「基礎控除額を増やす方法」です。相続税は、「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」が非課税となる基礎控除という仕組みがあります。

例えば、法定相続人が親と子2人の合計3人の場合、4,800万円(3,000万円+3人×600万円)までは相続税が発生しません。そして、この法定相続人は孫や子の配偶者を養子とすることで増やせます。養子が増えれば基礎控除額も増えるため、相続税対策が可能です。

ただし、法定相続人に含められる対象の養子は実の子どもがいる場合は1人まで、実の子どもがいない場合は2人までとなっているため注意しましょう。また、養子になる人への心理的な配慮も必要となるでしょう。

相続税対策⑧不要な不動産を売却する

相続税対策8つ目は、「不要な不動産の売却」です。これは、相続税を減らす方法ではなく、遺産を受け取る人が相続税を円滑に納めるための対策となります。不動産は高い評価額がつくことも多いですが、不動産を受け取る相続人は直接現金をもらうわけではありません。

不動産は相続してもすぐに売却することが難しいため、充分な現金が手元にない人は相続税を支払えないことが想定されます。そのため不要な不動産は予め現金化して、相続人が困らないようにしておくことは一つの手でしょう。

ただし、相続税を少なくするという意味では不動産として相続したほうが相続税の納税額は少なく済む場合も多いため、相続人の経済状況などを考慮して総合的に判断しましょう。

相続税対策⑨土地の評価額を下げる

相続税対策9つ目は、「土地の評価額を下げること」です。相続する土地の評価額を下げられれば、相続税の節税になります。土地の評価額を下げる方法は、主に下記の3つです。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人(被相続人)が居住していた宅地の評価額を80%減額できる制度です。居住していた宅地の最大330㎡まで、評価額を80%下げられます。

本特例の適用には相続人が被相続人と同居していたことなどが要件として設けられているため、適用対象となるかを事前に確認してみてください。なお、本特例を受けるためには相続税の申告書に希望の旨を記載し、遺産分割協議書の写しなどとともに税務署への提出が必要です。

家なき子特例

家なき子特例とは、相続で宅地を受け取った人が亡くなった人(被相続人)と同居していなかった場合でも、「小規模宅地等の特例」が適用され宅地評価額を80%減額できる制度です。

原則として、小規模宅地等の特例は相続する物件に被相続人と同居していたことが適用要件となります。

しかし、被相続人と同居していなくても、「被相続人に配偶者がいないこと」や「相続人は相続開始前に家を所有したことがないこと」などの要件を満たせば、小規模宅地等の特例を適用可能です。

被相続人と同居していなかったために小規模宅地等の特例の適用を諦めていた人は、家なき子の特例により宅地評価額を減らせないか確認してみてください。

賃貸物件の建設

賃貸物件の建設も、相続税対策になります。更地や空き家を保有している人は、賃貸アパートやマンションを建てることで相続税評価額を下げることが可能です。賃貸物件は、更地や空き家、自宅などと比較して相続税評価額が低くなります。

そのため、相続税を少なくしたい人は賃貸物件の建設を検討してみてください。賃貸物件に入居者がいれば、相続人は賃貸収入を継続して受け取れることもメリットです。

相続税対策⑩税理士報酬を前払いする

税理士報酬を相続が発生する前に支払うことで、遺産がその分少なくなり、相続税対策につながります。税理士によって対応可否は分かれますが、相続税の発生をできるだけ軽減したい人は税理士報酬の前払いも検討してみましょう。

相続税対策を行う際の注意点

相続税対策をする際に抑えておきたい注意点を3つ解説します。

できるだけ早く始める

相続税対策における注意点の1つ目は、できるだけ早く始めることです。相続税対策として代表的な生前贈与は、長期間にわたって継続的に贈与することで節税効果を得られます。また、生命保険も高齢になってからでは健康上の理由で加入できないこともあるでしょう。

そのため、相続税対策はできるだけ早く始めることが重要です。早くから検討しておくことで、さまざま選択肢から相続税対策を選べます。

最新の税制や法令を確認する

2つ目の注意点は、最新の税制や法令を確認することです。税制や法令は、頻繁に改定が行われます。そのため、相続税対策を始めた当初と実際に相続が発生するタイミングでは税制が変わっていることも十分考えられるでしょう。

最新の税制や法令に対応した相続税対策をしていないと、結果的に損することもあります。国税庁のHPなどで、定期的に最新の税制や法令について確認してみてください。

専門家の助言を受ける

最後の注意点は、専門家の助言を受けることです。相続税対策は、遺産の種類や家族構成などによって必要な対応方法が異なります。税金に詳しくない人が一人で最適な相続税対策を見つけるのは、難易度が高いといえます。

そのため、相続税の負担を適切な方法で最大限軽減したい人は、税金の専門家である税理士や銀行等の金融機関への相談を検討してみてください。

相続税の対策を押さえつつ、資産形成や老後の備えについても知識を得たい方は、以下の記事を参考にしてみましょう。

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まとめ

相続税は、生前から対策すれば節税が可能です。ただし、各税制には適用要件や注意点が多く存在します。そのため、相続税対策を検討する際には専門家からの説明や助言を受けながら、確実な相続税対策を行いましょう。

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