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「老後2,000万円問題」を解説!本当に必要な資金を見直して将来の不安を軽減しよう

「老後2,000万円問題」を解説!本当に必要な資金を見直して将来の不安を軽減しよう

2019年6月頃に話題になった「老後2,000万円」問題を覚えている方もいらっしゃるでしょう。簡単にいうと「老後の30年間で約2,000万円資金が不足する」という試算結果が出たという話ですが、実際はどうなのか、さまざまな観点から分析・解説していきます。

2023年9月15日 くらす

Supervisor監修者

荒井 美亜

2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者
荒井 美亜

立教大学大学院経済学研究科卒業。
「ささいな疑問や悩みを拾い上げ、前に進む原動力に変える」ことを目標に、金融分野を中心にライター活動中。
日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。

老後2,000万円問題とは

まずは、いわゆる「老後2,000万円問題」について解説します。老後2,000万円問題とは、金融庁の報告書において「老後の30年間で約2,000万円が不足する」と発表されたことがきっかけで議論が巻き起こった、老後の資産形成に関する問題です。

2019年6月に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」が公表されたことに伴う報道が発端になりました。

金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について

ちなみに、老後の備えや資産形成の一つとして考えたいのが確定拠出年金です。次の記事で詳しく紹介しているので、確定拠出年金の仕組みやメリットを正しく理解して、老後の不安を解消していきましょう。

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「老後の30年間で約2,000万円が不足する」という試算結果

報告書によれば、以下のモデルケースを想定して試算した場合、30年間で約2,000万円の取り崩しが必要になるという計算結果が出ました。

老後2,000万円問題の試算におけるモデルケース
  1. 夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯
  2. 夫が95歳、妻が90歳になるまでの30年間は夫婦とも健康である
  3. 毎月約5万5,000円が赤字になる

注意したいのは、2,000万円不足するのはあくまで前提条件通りになった場合です。詳しくは後述しますが、望む生活スタイルによっても保有すべき老後資金は大きく異なります。

なぜ老後2,000万円問題が話題になったのか

ここで、なぜ老後2,000万円問題が大きな話題になったのか、理由を考えてみましょう。以下の3つが指摘できます。

老後2,000万円問題が話題になった理由
  1. 日本人の長寿化
  2. 退職金の減額傾向
  3. 働き方の多様化

1.日本人の長寿化

日本は世界でもトップクラスの長寿国で、平均寿命は2022年の時点で男性が81.49歳、女性が87.60歳にも達しています。40年前の1982年には男性の平均寿命が74.22歳、女性の平均寿命が79.66歳だったことを考えると、大幅に長寿化・高齢化が進みました。

厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」 厚生労働省「平均余命の年次推移」

仮に65歳で完全にリタイアし、82歳で亡くなるとしても、17年間は「老後の暮らし」が続く計算になります。75歳前後で亡くなっていた時代よりも7年は長生きすることになるため、老後の生活資金の不足を危惧する方が増えてもおかしくはありません。

老後2,000万円問題の前提条件のように、95歳まで生きたとしたら30年間「老後の暮らし」をすることになるため、相応の預貯金や金融資産を保有しておく必要があるでしょう。

2.退職金の減額傾向

退職金が減額傾向にあるのも、老後2,000万円問題に関心を寄せた方が多かった1つの理由といえるでしょう。

一般社団法人日本経済団体連合会がまとめた「退職金・年金に関する実態調査結果」によれば、大卒で入社し60歳で定年退職した場合の退職金の額の平均額は、2002年9月時点では2512万円だったのに対し、2021年9月時点では2,243万円にまで減っています。

一般社団法人日本経済団体連合会「2002年9月度「退職金・年金に関する実態調査結果の概要」 一般社団法人日本経済団体連合会「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」

最終学歴や企業規模によっては2,000万円を割り込むことも珍しくありません。「自分たちが退職金を受け取るころには、もっと少ない額になっているのでは?」と考える方も、老後2,000万円問題には関心を持ったことでしょう。

3.働き方の多様化

働き方の多様化も、老後2,000万円問題に対する関心が集まった理由として考えられます。

退職金が受け取れるのは、企業に正社員として勤務していた方が前提です。しかし、フリーランスや自営業としてご自身で事業を営んでいたり、派遣社員や契約社員として働いていたりした方には、退職金がありません。

このような場合、老齢基礎年金だけでは心許ないため、ご自身で老後資金を確保すべく、貯蓄や金融商品の保有・運用を行う必要が出てきます。

本当に老後資金が2,000万円で足りるのか

先ほど触れた老後2,000万円問題は、「老後の30年間で約2,000万円が不足する」という試算結果が前提になっていました。ここではさらに踏み込んで、さまざまなデータから本当に老後資金は2,000万円あれば問題ないのかを検討してみます。

二人暮らし世帯は毎月2万円が不足

2021年のデータですが、総務省「家計調査年報」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の1ヵ月当たりの実収入の平均は23万6,576円、可処分所得の平均は20万5,911円でした。

一方、消費支出は平均22万4,436円となっているので、二人暮らし世帯であれば毎月2万円程度が不足する計算になります。95歳で亡くなることを想定した場合、65歳からの30年間で480万円不足する計算になります。

総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」

この程度の不足額であれば、十分な貯蓄を保有していたり、金融商品で運用を行ったりなど、方法次第では問題なく過ごせるかもしません。

実際は、どちらか一方に介護が必要になったりなどの理由で、これよりもお金がかかることは考えられます。それでも「2,000万円ないと足りない」とまでは言い切れないでしょう。

ゆとりある生活をしたいなら毎月15万円が不足

一方「高齢になってもある程度はゆとりある生活をしたい」と思うなら、事情はだいぶ異なります。公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、ゆとりある老後生活を送るために最低日常生活費以外に必要と考える費用の平均は14万8,000円とのことでした。

公益財団法人生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」

つまり「ゆとりある生活をしたいならあと毎月15万円は必要」といったところです。なお、ゆとりのために上乗せした分の主な使い道は、旅行やレジャー、日常生活費の充実、趣味や教養とのことでした。

先ほどと同じように95歳で亡くなると想定した場合、65歳からの30年間で必要な額は5,400万円にも達します。到底2,000万円では足りないのがわかるうえに、実際は病気やけがをした場合の治療費や介護費用もかかるので、より多くの資金が必要でしょう。

生活スタイルによっては2,000万円では足りないかも

ここまでを踏まえると、必要な老後資金は高齢になってからの生活スタイルに大きく左右されることが分かります。慎ましい生活を送る前提であれば、老齢基礎年金や老齢厚生年金の給付により得られる金額に多少上乗せするだけで特に問題はないかもしれません。

しかし「1年に1回は旅行に行きたい」「子どもが結婚・出産したりした時は援助したい」と考えているなら、2,000万円では不足する可能性が高いです。このように「老後の資金はいくらあれば良いか」は、どのような生活を送りたいかによっても変動します。

詳しくは後述しますが、高齢になってからのことも含めて、綿密なライフプランを作成しましょう。

老後資金不足に陥らないための6つの工夫

老後資金不足に陥らないためには、工夫が必要です。ぜひ取り入れていただきたい工夫として、以下の6つを紹介します。

老後資金不足に陥らないための6つの工夫
  1. ライフプランを作成する
  2. 生活費を切り下げる
  3. 長く働く
  4. 公的年金はできるだけ遅く受け取る
  5. 公的年金の上乗せ制度を使う
  6. 長期積立投資を行い老後資金を確保する

1.ライフプランを作成する

老後において資金不足に陥らないためには、まずはライフプランを策定しましょう。

ライフプランとは、結婚や出産、住宅購入などで変わる将来の生き方を、お金の面も含め具体的に計画にしたものです。例えば「老後は2年に一度海外旅行へ行きたい」「子どもが結婚するときは資金援助をしたい」など、老後にやりたいことがあれば、それを盛り込みます。

ライフプランを作成することで、老後に必要な貯蓄額がおおよそ分かるでしょう。達成するためにはどのような方法で進めるか、何が問題点になるかも把握できます。

2.生活費を切り下げる

生活費を切り下げることも重要です。65歳以降になれば年金を受け取れるとはいえ、月々の生活費をそれだけでまかなうのは難しいのが実情です。貯蓄があったとしても、浪費すればどんどん減っていきます。

生活の質が下がりすぎない程度で、生活費を切り下げることを心がけましょう。

3.長く働く

できるだけ長く働くことも、老後資金不足に陥らない有効な対策になります。勤務先に定年後の再雇用制度や再就職支援制度があれば活用しましょう。また、資格やスキルを活かして独立起業するのもひとつの選択肢です。

4.公的年金はできるだけ遅く受け取る

公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は、できるだけ遅く受け取りましょう。本来、老齢基礎年金・老齢厚生年金は65歳から受け取れますが、最長で75歳まで給付時期を繰り下げることができます。

1ヵ月給付を繰り下げた場合0.7%増額されるので、75歳まで繰り下げると最大84%増額される仕組みです。仕事で収入があるなど、65歳になってすぐ受け取る必要がない場合は検討してみましょう。

5.公的年金の上乗せ制度を使う

国民年金保険に加入している方(第1号被保険者)や65歳未満で退職した勤務先の厚生年金保険に加入している方(任意加入被保険者)は、国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せすれば、将来受け取れる老齢基礎年金の額を増やすことができます。

なお、後述するiDeCoとも併用が可能です。

6.長期積立投資を行い老後資金を確保する

長期積立投資を行い、老後資金を確保することも有効です。例えば毎月3万円を年4%の想定利回りで30年間運用したとしましょう。この場合、最終的な積立金額は2,082万1,482円にも達し、2,000万円をクリアできます。

老後資金確保のために取り入れたい長期積立投資

老後資金としてある程度まとまった金額を確保する方法として、長期積立投資が挙げられます。既に触れた通り、毎月3万円を年4%の想定利回りで30年間運用すれば、2,000万円を準備することは十分可能です。

活用していただきたい方法として、ここではNISAとiDeCoを紹介します。

NISA

NISA(少額投資非課税制度)とは、一定の条件を満たす形での金融商品への投資であれば、得られた利益が非課税になる税制優遇制度のことです。制度自体は2014年1月からスタートしていますが、2024年からは大幅に変更されます。

以下の表にもあるように、1年間で最大360万円まで非課税で投資ができるようになります。

新NISA(2024年1月以降)
項目 つみたて投資枠 成長投資枠
対象商品 投資信託(一定の基準あり) 株式・投資信託等(※一部対象外商品あり)
購入方法  積立 一括・積立
年間投資額  120万円 240万円

なお、新NISAに関しての注意点は以下の通りです。

新NISAの注意点
  • 非課税保有限度枠(総枠)は1,800万円(うち、成長投資枠は1,200万円まで)
  • 非課税保有期間は無期限
  • つみたて投資枠と成長投資枠の併用は可能

新NISAの対象外となる商品

「信託期間が20年に満たない商品」「毎月分配型の商品」「高レバレッジ型等、ヘッジ目的以外でデリバティブを活用する商品」は成長投資枠の対象外となります。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、ご自身で掛金を拠出・運用し、原則60歳以降に年金として受け取る仕組みの私的年金制度です。掛金は毎月5,000円から始められますが、国民年金の加入資格や職業によって上限額が異なります。

長期間着実に積み立てができる便利な制度ですが、運用を伴う以上損失が出る可能性があるうえに、原則として60歳になるまで引き出しはできない点に注意しましょう。「無理なく払い続けられるか」を基準に掛金額を決めることをおすすめいたします。

iDeCoの掛金の限度額
国民年金保険の加入資格  具体例および上限額
第1号被保険者 ・自営業:月額6万8,000円(※)
第2号被保険者 ・会社員(企業型確定拠出年金のみ加入):月額2万円
・会社員(企業型確定拠出年金以外の企業年金に加入):月額1万2,000円
・会社員(企業年金未加入):月額2万3,000円
・公務員(私立学校教職員共済制度に加入):月額1万2,000円
第3号被保険者 ・専業主婦・専業主夫など:月額2万3,000円
任意加入被保険者 ・任意加入:月額6万8,000円(※)

※ 国民年金基金の掛金または国民年金の付加保険料との合算額

まとめ

老後資金としていくらあれば良いのかは、望む生活スタイルによっても異なります。ゆとりがあり、趣味を楽しむ生活を望む場合は、2,000万円では心許ないかもしれません。

いずれにしても、ご自身にとっての理想の老後を思い描き、続けられる方法で必要な資金を積み立てていくことが重要です。不明な点がある場合は、金融機関の窓口などで質問してみるのをおすすめします。

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