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新NISAへのロールオーバーは可能?改正後の仕組みから必要な対応を解説

新NISAへのロールオーバーは可能?改正後の仕組みから必要な対応を解説

2024年1月から新NISAがスタートします。そこで問題になるのが、現行NISAで運用している金融商品の扱いです。実は、現行NISAから新NISAへの移管=ロールオーバーはできません。今回の記事では、改正後の仕組みから必要な対応について詳しく解説します。

2023年11月2日 ためる・ふやす・そなえる

Supervisor監修者

荒井 美亜

2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者
荒井 美亜

立教大学大学院経済学研究科卒業。
「ささいな疑問や悩みを拾い上げ、前に進む原動力に変える」ことを目標に、金融分野を中心にライター活動中。
日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。

新NISAと現行NISAは何が違う?

NISAとは2014年から開始された制度で、日本語では「少額投資非課税制度」といいます。

本来、株式や投資信託など金融商品を運用して得た配当金や売却益には20.315%の所得税と住民税がかかります。しかし、NISAの専用口座を通じて運用すれば、一定の範囲までであれば税金がかかりません。

また、18歳以上であれば誰でも専用口座を開設し、運用を開始できます。

当初は一般NISAと呼ばれる制度のみでしたが、2018年からつみたてNISAが加わる形で改正がされました。この改正により、毎年非課税で投資できる額(年間投資枠)がつみたてNISAの場合40万円、一般NISAの場合120万円に変更になりました。

そして、NISAは2024年1月から大幅に改正されます。改正を経て今後どのように変化するのか、現行制度(現行NISA)と制度変更後(新NISA)との違いをまとめた表で理解しましょう。

現行NISAと新NISA
現行NISA 新NISA
対象年齢 18歳以上 18歳以上
投資可能期間 2023年末で買付終了 2024年からいつでも
非課税期間 つみたてNISA:20年間
一般NISA:5年間
無期限
年間投資枠 つみたてNISA:40万円
一般NISA:120万円
つみたて投資枠:120万円
成長投資枠:240万円
生涯投資上限 つみたてNISA:800万円
一般NISA:600万円
1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
投資商品 つみたてNISA:国が定めた基準を満たす投資信託・ETF
一般NISA:上場株式・ETF・REIT・投資信託
つみたて投資枠:国が定めた基準を満たす投資信託・ETF
成長投資枠:上場株式・ETF・REIT・投資信託(毎月分配型等一定の投資信託を除く)
投資方法 つみたてNISA:積立
一般NISA:一括・積立
つみたて投資枠:積立
成長投資枠:一括・積立
両制度の併用 不可
売却枠の再利用 不可 可(投資元本ベースの管理、枠復活は翌年)

表にあるとおり、現行NISAから新NISAへの改正により、毎年の投資枠が大幅に増えるため、より効率的な資産運用が可能となります。

新NISAについてもっと詳しく知りたいと思った方は、こちらの記事をご覧ください。現行NISAとの違いをより詳しく解説しています。

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新NISAへのロールオーバーはできない

上の表にもある通り、現行NISAでの買付ができるのは2023年末までです。それに伴い、既に現行NISAを運用している方は、その運用分を移管=ロールオーバーすることを検討されるのではないでしょうか。

しかし、結論からいうと、現行NISAから新NISAへのロールオーバーはできないことになっています。

一般NISAのロールオーバーの仕組み

そもそもロールオーバーとは、NISAでの非課税期間終了時に翌年の非課税投資枠に移行して運用を続ける仕組みです。以下の3つの条件を満たしていれば、現行NISAではロールオーバーを行うことができました。

現行NISAにおいてロールオーバーを行うための条件
  • 一般NISAである(つみたてNISAではロールオーバーができない)
  • ロールオーバー先のNISA口座は、これまで使ってきた金融機関と同一のものである
  • 期限までにロールオーバーの手続きを済ませている

ただし、2024年以降は扱いが変わります。現行NISAの非課税期間が終了すると、従前のようにロールオーバーはできません。

そのため、非課税期間中に商品を売却するか、課税口座に移管してもらい運用することになります。課税口座移管後に得られた売却益や配当金には、20.315%の所得税と住民税がかかるため注意してください。

新NISAのロールオーバーの仕組み

新NISAが開始されると、ロールオーバーはできなくなります。そもそも非課税期間が無期限となるため、ロールオーバーという仕組みが必要なくなるためです。

また、現行NISAで運用している部分をそのまま新NISAに移管することもできません。詳しくは後述しますが、現行NISAで運用している金融商品がある場合は、新NISAに移行したらどのような扱いになるのかを確認しておきましょう。

新NISAへのロールオーバーができないなら、どうしたらいい?

現行NISAから新NISAへのロールオーバーができない以上、現行NISAをどのようにするかが問題になります。

ここでは考えられる対処法として、以下の2つを紹介します。

新NISA開始後の現行NISAの対処法2つ
  1. 非課税期間が終わるまで継続運用
  2. 売却して新NISAで運用開始

方法①非課税期間が終わるまで継続運用

2024年に新NISAが始まっても、現行NISAがすぐに終了するわけではありません。一般NISAは最長2027年まで、つみたてNISAは最長2042年まで非課税で運用ができます。

ただし、非課税期間が満了するタイミングは人それぞれのため、いつまで非課税期間があるかは事前に確認してください。

新NISAの非課税枠と現行NISAの非課税枠は別個に設定されるので、現行NISAで運用する資産を売却しなくても問題ありません。以下のいずれかに当てはまるなら、非課税期間が満了するまで現行NISAでの運用を続けてもよいでしょう。

継続運用を検討してもよいケース
  • 現行NISAでの資産運用を始めたのが比較的遅く、非課税期間が十分に残っている
  • 手持ち資金に余裕があり、すぐに売却する必要がない

方法②売却して新NISAで運用開始

一方、非課税期間があまり残っていないなら、売却して新NISAでの運用をしたほうがよいでしょう。

ご自身が現行NISAで運用している金融商品について、いつまで非課税期間が残っているかは利用者ページなどで確認できます。具体的な手順は金融機関によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

新NISAの開始前に準備しておくこと

新NISAは2024年1月から開始されますが、その前から準備しておくことで、今後より効率的に資産運用をしていくことが可能になります。

ここでは、積極的に取り組んでみてほしい準備として、以下の3点についてお伝えします。

新NISAの開始前に準備しておくこと
  • 現行NISAの口座を開設する
  • 少額投資ができる証券口座を持っておく
  • 投資資金を確保しておく

現行NISAの口座を開設する

現行NISAから新NISAに切り替わる前に、現行NISAの口座を開設しておくとよいでしょう。現行NISA口座を持っていなくても、2023年中に開設できれば、生涯の非課税投資額を増やせます。

既に触れたとおり、現行NISAでの毎年の投資枠の上限はつみたてNISAを選択した場合は40万円、一般NISAを選択した場合は120万円です。2023年から始めるなら1年分しか使えませんが、それでも生涯投資上限額はつみたてNISA選択時(新NISAの生涯投資上限額1,800万円+40万円=1,840万)、一般NISA選択時(=新NISAの生涯投資上限額1,800万円+120万円=1,920万)まで増やせます。

また、現行NISA口座があれば、新NISA口座も自動的に開設することができます。金融機関によって具体的な流れは異なりますが、NISA口座を開設するために必要なものは以下の通りです。

NISA口座の開設にあたっての必要書類
  • 申込書(Web経由ならフォームへの入力)
  • マイナンバーが確認できる本人確認書類(マイナンバーカード(個人番号カード)、通知カード、マイナンバーが記載された住民票の写し)
  • 運転免許証・運転経歴証明書やパスポートなど顔写真のついた本人確認書類

なお、NISA口座の開設には税務署の審査が必要なので、2~3週間程度かかります。

現行NISAから新NISAへの改正が行われる前、つまり2023年12月31日までに完了させるには、いつまでに手続きを済ませればよいかを金融機関に確認しておきましょう。

少額投資ができる証券口座を持っておく

これまでに株式や投資信託など金融商品への投資を行ったことがない方で新NISAの利用を考えている場合は、少額投資ができる証券口座を開設しておくとよいでしょう。

NISAも投資の一種である以上、損をする可能性は十分にあります。そのため、知識が不十分なまま取り組むのは好ましくありません。投資の勉強は本やWebサイトを読んだり、セミナーを聴講したりしてもできますが、実際にやってみることは大きな学びになります。

昨今は1株100円から単元未満株や投資信託を購入できたり、買い物した時にもらえる共通ポイントを使って金融商品を購入できたりする証券会社も出てきました。お小遣い程度の資金があれば始められるので、勉強の一環として実際に取り組んでみるとよいでしょう。

金融商品の仕組みや利益を出すための判断方法について、実践しながら学ぶことが可能です。NISA口座と同様、18歳以上であれば口座が開設できることがほとんどなので、学生や新社会人のうちから取り組んでみるのもおすすめです。

投資資金を確保しておく

現行NISA、新NISAを問わず投資を本格的に行うなら、少額でもよいので毎月の投資資金を確保しておきましょう。投資は余剰資金で行うことが大前提です。もし生活費まで投資資金に回して損失を出してしまったら、生活がままならなくなります。

あくまでも投資は生活に支障をきたさない範囲で行うようにしましょう。年間投資枠の上限近くまで投資できることが理想ではありますが、難しい場合はコツコツと続けていきましょう。

少額の投資であっても、長期積立運用をしていけば着実に資産を増やせます。

まとめ

現行NISA口座で運用している金融商品を、新NISAの口座にロールオーバーすることはできません。それでも、非課税期間が終わるまで運用したり、売却して新NISA口座での運用資金に回したりなど、現行NISAでの運用分の活用方法は存在します。

また、現在NISAでの投資をしていない方でも、現行NISA口座を早いうちから開設しておくことにはメリットがあります。その場合はある程度の時間がかかるため、余裕を持って手続きをしておきましょう。

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