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働きながら年金は受給できる?制度の対象者や金額の計算方法についてわかりやすく解説

働きながら年金は受給できる?制度の対象者や金額の計算方法についてわかりやすく解説

日本では原則として65歳になると年金を受給できますが、まだまだ体力的に働ける方は多いはずです。そのため「働きたいけれど、年金を受給できないと困るから」と、定年退職を検討する方も多いのではないでしょうか。しかし実は、働きながら年金を受給することは可能です。本記事では、働きながら年金を受給できる制度や金額について詳しく解説していきます。

2024年3月27日 ためる・ふやす・そなえる

働きながら年金受給することは可能

結論からいうと、働きながら年金を受給することは可能です。

日本の年金制度には、一定の要件を満たせば60歳を超えても、働きながら年金を受給できる「在職老齢年金制度」が設けられています。ここからは、制度の詳細についてみていきましょう。

在職老齢年金制度とは

在職老齢年金制度とは、70歳未満の年金受給対象者が会社で働きながら老齢厚生年金を受給できる制度のことです。対象者は、在職中に年金を受給しながら厚生年金保険に加入し続けることになります。

ただし、対象となるのは「厚生年金保険に加入している人」のみです。自営業やフリーランスなど、厚生年金保険に加入せずに働く人はこの制度の対象にはなりません。

高年齢雇用継続給付金を受ける場合

65歳未満で、厚生年金保険の老齢年金を受給しながら働いている期間は、高年齢雇用継続給付金を受け取れることがあります。高年齢雇用継続給付金とは、賃金額が60歳の時点で支給されていた額が75%未満である従業員に対して支給される給付金のことです。

高年齢雇用継続給付を受け取っている場合、年金は最大で標準報酬月額の6%相当が支給停止されます。収入が多い場合は、さらに在職老齢年金制度による年金も減額される可能性があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

働きながら受け取れる年金受給額は?

ここまで説明してきたように、働きながら年金を受給することは不可能ではありません。ただし、仕事で得られる収入が多ければ、その分年金受給額が減ってしまう点には注意しましょう。

ここでは、働きながら受給できる在職老齢年金の基本的な計算の流れを解説します。

受給できる年金額の計算式

働きながら受け取れる年金受給額は、以下2点をもとに算出します。

働きながら受け取れる年金受給額の計算で必要なデータ
  • 老齢厚生年金の基本月額
  • 総報酬月額相当額(標準報酬月額+直近1年間の賞与を12で割った額)

具体的な計算方法はこちらの表の通りです。

在職老齢年金として受給できる額の計算式
基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円以下の場合 全額支給
基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円を超える場合 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2

ここからは、具体例を挙げて解説します。

年金が全額支給される場合の例

年金が全額支給される場合の事例
  • 老齢厚生年金の基本月額:15万円
  • ボーナスを含めた月々の賃金平均:25万円

この場合、基本月額と総報酬月額相当額(月々の平均賃金)の合計額が40万円となり、減額基準となる48万円を下回っています。よって、働きながらでも年金は満額の15万円を受け取れる計算になります。

年金が一部支給停止される場合の例

年金が一部支給停止される場合の事例
  • 老齢厚生年金の基本月額:20万円
  • ボーナスを含めた月々の賃金平均:32万円

この場合、基本月額と総報酬月額相当額(月々の平均賃金)の合計額が52万円となり、減額基準となる48万円を超えているため、年金の一部が支給停止となります。

支給停止額は(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2 の計算式より、(20万円+32万円-48万円)÷2 = 2万円です。よって、働きながら受け取れる年金額は18万円となります。

年金が全額停止される場合の例

年金が全額停止される場合の事例
  • 老齢厚生年金の基本月額:10万円
  • ボーナスを含めた月々の賃金平均:60万円

この場合、基本月額と総報酬月額相当額(月々の平均賃金)の合計額が70万円で、支給停止額を算出すると、(10万円+60万円-48万円)÷2 = 11万円となります。しかし年金の基本月額は10万円なので、支給停止額が基本月額を上回ってしまいます。

このように、月々の賃金平均だけで48万円を大幅に超えている場合は、年金が全額支給停止されることもあるため注意しましょう。

働きながら年金を満額で受給する方法

働きながら満額の年金を受給したい場合、以下のいずれかの方法をとる必要があります。

働きながら在職老齢年金の満額を受給する方法
  • 「収入+年金」を月額48万円以下に抑える
  • 雇用形態を変えて厚生年金の加入対象から外れる

それぞれの方法について、具体的な年金受給額の計算例を交えながら詳しく解説します。

方法①「収入+年金」を月額48万円以下に抑える

働きながら年金を満額受給する方法として、収入と年金の合計額を月額48万円以下に抑えることが挙げられます。

厳密には、働きながら受け取る年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額を48万円以下に抑えるということです。48万円を超える可能性がある場合は、業務内容や給与設定の見直しについて前もって会社に相談しておくとよいでしょう。

なお、日本年金機構のWebサイトには「在職老齢年金の計算方法のフローチャート」が掲載されているので、参考にしてみてください。

参照:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

方法②雇用形態を変えて厚生年金の加入対象から外れる

「会社員」から雇用形態を変えて、厚生年金の加入対象から外れられれば、働きながら年金を満額受給できます。そもそも、在職基礎年金は「厚生年金に加入していること(=国民年金保険の第2号被保険者であること)」が前提となっている制度です。

そのため、厚生年金に加入しない働き方をすれば在職基礎年金の対象外となるため、年金を満額受給できます。働きながら年金の受給を希望している方は、起業するかフリーランスなどとして働くことを視野に入れてみましょう。

また、雇用契約ではなく業務委託契約を結ぶことで、働きながら年金を満額受給できる方法もあります。現在の勤務先で働きながら年金を受給したい方は、事情を話し年金の受給を開始するタイミングで業務委託契約に変更できないか確認するのもよいでしょう。

会社員として働き続けることで年金受給額を増やす方法もある

一方で、定年後も会社員として働き続けることには、70歳以降からの年金受給額が増えるメリットがあります。

なぜなら、会社員として働き続けることは、厚生年金に加入し保険料を払い続けるということだからです。最終的に払った保険料が多いほど、支給される年金額は増えます。

それ以外にも、会社員として働き続けるメリットはあります。具体的には、有給休暇や労災保険、傷病手当金など健康保険の制度を利用できることです。

特に傷病手当金は、業務外のけがや病気で4日以上仕事を休んだ場合、給与の一部が支給開始日から通算して1年6ヶ月の間受け取れます。体調を崩して入院や手術をしたなどの理由で仕事を休む場合でも、一定額の収入を得られます。

高齢になるほどけがや病気のリスクは上がるので、傷病手当金を利用できる会社員のメリットは大きいといえるでしょう。

「会社員を辞めて在職老齢年金の減額を回避する」か「会社員で働き続けて70歳以降の年金受給額を増やす」かのどちらがよいかは、その人の考え方や置かれた状況によって異なるのが実情です。周囲とも相談しながら、どちらがよいかを比較検討してみましょう。

働きながら年金受給するための手続きは?

以下では、働きながら年金を受給するための手続きについて解説します。在職老齢年金に限らず、年金を受給するには受給開始手続きが必要です。

老齢厚生年金が受け取れる年齢に近づくと、日本年金機構から年金請求書が送付されるため、指示に従って必要書類を揃え、年金事務所に提出すれば問題ありません。

働きながら年金受給をするために必要な書類の例
  • 戸籍謄本、戸籍抄本
  • 住民票、住民票の記載事項証明書
  • 銀行のキャッシュカード

また、在職老齢年金の場合、昇給や降給で賃金が変動したりボーナスが支給されたりすることで、月々の賃金平均が変わることもあるでしょう。

その場合、会社が日本年金機構へ報告することになっているので、月々の賃金平均が変わる度、日本年金機構から支給額変更のお知らせが届きます。働きながら年金を受給する方は、年金請求書が届き次第必ず開封し内容を確認しておくようにしましょう。

働きながら年金受給する場合は確定申告が必要なケースもある

働きながら年金を受給する場合、次の3つのケースのいずれかに当てはまると、確定申告が必要になります。

働きながら年金受給をする際に確定申告が必要となるケース
  • 給与所得が年間2,000万円を超える場合
  • 年金受給額が年間400万円を超える場合
  • 年金以外の所得が年間20万円を超える場合

上記3つのうち、3つ目の「年金以外の所得が年間20万円を超える場合」が働きながら年金受給する方に当てはまりやすいケースでしょう。

年間20万円というのは所得控除後の金額ではありますが、パートやアルバイトでも到達しやすい額なので、注意が必要です。実際に確定申告が必要かどうかは、早い段階で税務署や税理士に確認するのをおすすめします。

まとめ

60代以降も会社員として働き続けることには、年金以外の安定した収入が確保できるだけではありません。人とのつながりや仕事のやりがいを感じられるなどさまざまなメリットがあります。

年金の受給方法を検討することは、早い段階から老後の資金を準備するのと同じくらい大切です。老後の生活を豊かにするためにも、自分に合った働き方や年金の受給方法を考えておきましょう。

本記事でも解説したように、働きながらでも年金の受給は可能です。体力面での不安や他にやりたいことがあるなどの事情がなければ、できる範囲でよいので仕事を続けることをおすすめします。

以下記事では、近年問題視されている「老後2,000万円問題」に備えた対策方法についても解説しているので、働きながら年金を受給したい方は合わせてチェックしてみてください。

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