
定年後は【退職金】を賢く運用しよう!失敗しないコツとおすすめの方法を解説
退職金をもらったら、どのように運用したらよいのか悩むことは多いでしょう。退職金は1,000万円単位の大きな金額になることも多いため、使いみちや運用方法には慎重にならなければなりません。本記事では、退職金の運用で失敗しないためのコツをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
退職金を運用して老後資金を増やした方がよい理由

退職金をもらったら、使いみちに悩むかもしれません。退職金は将来老後のために残しておきたいけれど、運用すべきか悩むという方も多いでしょう。
結論から申し上げると、退職金は運用して老後資金を増やすのがおすすめです。まずは、退職金の運用が必要な理由を説明します。
公的年金の受給額が減少している
老後の生活を支える柱となるのは「公的年金」ですが、受給額は減少傾向にあるため貰える金額は決して多くはありません。
厚生労働省が公表している統計によると、会社員だった人の2022年度(令和4年度)の平均年金受給額は、月額で14万4,982円です。あくまで平均額であるため、納付額によってはもっと少ない人もたくさんいるでしょう。
年金受給額は、賃金や物価の変動に応じて毎年改定が行われています。下の表からもわかるとおり、過去10年を見ても年金は概ね減少傾向にあります。

今後は、公的年金だけではますます生活費が不足する可能性があります。そこで、退職金を運用して増やせば老後の生活費に充てられる金額も増えるため、老後に向けての安心感が得られるでしょう。
老後に必要な資金
老後の生活費として実際にどれくらいの費用が必要なのかを見てみましょう。
総務省の家計調査報告によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出の平均は25万959円です。このうち夫婦の年金(社会保障給付)でカバーされるのは21万8,441円となっています。
年金以外の収入を加えた実収入から、消費支出および非消費支出(税金・社会保険料等)を差し引きすると、1ヶ月あたり3万7,916円の赤字です。
少なくとも、赤字分を埋めるお金は必要になります。退職金を運用して増やしていれば、生活費を補うのに心強いでしょう。
【出典】総務省:家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要インフレによる物価上昇の可能性がある
将来の老後資金に備えるために、預貯金を利用して退職金を貯蓄しておく方法もあります。ただし、預貯金ではインフレに対応ができません。
現在は物価の上昇が続いている状態です。このままインフレで物価が上がり続けると、相対的にお金の価値がどんどん下がっていくでしょう。
預貯金を利用した状態でインフレになると、保有している貯金額は変わらなくても、物価が上昇した分資産が目減りしてしまいます。
株価は物価の上昇とともに上がるのが一般的であるため、退職金を株式等に投資して資産運用を行い、インフレ対策するのが大切です。
退職金を運用すれば、資産の価値が目減りするのを防げます。老後まで長く保有しておく資産だからこそ、退職金は運用する必要性が高いのです。
平均寿命が伸びている
退職金を運用するメリットのひとつとして、老後の生活に余裕が生まれることが挙げられます。
60歳で定年になり退職金をもらった後も、医療が発達している現在において20年以上は生きる可能性が高いと考えておきましょう。日本人の平均寿命は年々伸びており、2022年(令和4年)の平均寿命(余命)は、男性が81.05歳、女性が87.09歳です。
平成以降の平均寿命(余命)の推移は、次のようになっています。

老後の時間は、以前よりも長くなっています。長い老後の生活を支えるためには、退職金を有効活用すべきでしょう。老後にゆとりのある生活をするために、資産はできるだけ用意しておきたいものです。
退職金のおすすめの運用方法4つ

退職金をもらったら、すぐ使ってしまわずに運用することを第一に考えましょう。退職金は、できるだけ安全な方法で運用するのがコツです。ここからは、退職金のおすすめの運用方法をご紹介します。
個人向け国債
個人向け国債は、国が発行する債券なので安全性の高い退職金の運用ができます。個人向け国債には、以下の3種類があります。
- 変動10(変動金利型10年満期)
- 固定5(固定金利型5年満期)
- 固定3(固定金利型3年満期)
個人向け国債は、元本と利子の支払いを国が行うため、元本割れをすることはありません。最低金利として0.05%が保証されており、預貯金と比べて有利な運用ができます。
個人向け国債は、銀行や証券会社などほとんどの金融機関で取扱われており、1万円から手軽に購入できるのもメリットです。
投資信託
退職金の運用には、投資信託もおすすめです。投資信託とは、投資家から集めた小口の資金を1つの大きな資金とし、運用の専門家であるファンドマネージャーがさまざまな対象に投資して運用する仕組みの金融商品です。
投資信託では元本は保証されていません。しかし、1つの商品で複数の地域や資産に分散投資ができるため、運用リスクを軽減できます。長期的な積立投資を行えば、資産を大きく増やせる可能性があるのもメリットのひとつです。
定期預金
投資はリスクが心配なので、退職金は元本保証型の商品で運用したいという方も多いでしょう。すぐに使わない退職金は、普通預金よりも定期預金に入れておくのがおすすめです。
定期預金は、預入期間が長くなるほど金利が高くなるのが一般的ですが、大きくは増やせないため使い道が決まっている分の運用に適しています。
貯蓄型保険
退職金を保険で運用することも可能です。終身保険や個人年金保険、養老保険、変額保険などには、保険と貯蓄両方の機能があります。貯蓄型保険の魅力は、上手に活用すれば、万一のときの保障を用意しながら資産形成もできる点でしょう。
例えば、終身保険は一生涯の死亡保障が得られる保険ですが、一定期間経過後に解約すれば払込保険料の総額を上回る解約返戻金が受け取れます。また、保険料払込期間中は生命保険料控除により、所得税や住民税が安くなるメリットもあります。
退職金の運用を失敗しないコツ5つ

退職金の運用に失敗すると、老後の生活資金に充てるお金が減ってしまう恐れがあります。退職金の運用で失敗しないよう、運用のコツを知っておきましょう。
分散投資する
運用リスクを抑えるためには、分散投資が有効です。分散投資とは、投資する資産や地域、タイミングなどを分散させる方法です。
投資で利益を出したい場合、大きな金額を投資すればリターンも大きくなります。退職金で大きな利益を狙って、1つの商品にまとめて投資してしまう人もいるかもしれません。
しかし、投資では損失が出ることもあります。大きな金額をまとめて投資すると、その分損失も比例して大きくなってしまうのです。
分散投資は投資信託を活用することで、1つの商品で幅広い地域や資産に投資できます。積立投資をすれば時間の分散もできるため、より損失のリスクを抑えられるでしょう。
非課税制度を活用する
退職金を運用するときには、非課税投資の制度の利用も検討しましょう。
退職金を運用して利益が出ても、利益のすべてが手元に残るわけではありません。資産運用による利益に対しては、20.315%の税金がかかるからです。退職金を運用で増やせても、税金の負担が大きくて損をしてしまうこともあります。
非課税投資制度にはiDeCoやNISAがありますが、退職金の運用におすすめなのはNISAです。2024年1月にスタートした新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠という2つの枠で年間合計360万円までの投資を非課税にできます。
NISAを活用すれば、税金分も含めた利益を再投資しながら運用できるので、退職金を増やしやすくなるでしょう。
お金を色分けする
退職金の運用に失敗しないコツは、お金を色分けすることです。お金の色分けとは、利用目的や必要な時期によってお金を分けて管理することを意味します。具体的には、次のような分け方をします。
- 当面の生活費として最低限確保しておくお金
- 将来的に使う予定が決まっているお金
- 当面は使う予定のないお金
退職金を受け取ったら、まずは1と2を確保する必要があります。退職金から1と2を差し引いた残りの3のお金の中から資産運用を行いましょう。
株式や投資信託などでは元本が保証されていません。退職金を無計画に運用してしまうと、必要なお金もなくなってしまう可能性があります。そのため、退職金は先に色分けしておき、無理なく計画的に運用することが大切です。
お金の色お金の色分けについて足利銀行で相談する(来店予約はこちら)人任せにしない
投資を始めるときには人任せにせず、自分で商品の特徴やリスクなどをきちんと把握しておきましょう。金融機関の担当者や友人・知人にいわれるままに投資を始め、よくわからないからと任せきりにしていると、失敗することがあります。
元本が保証されていない商品に投資して失敗した場合、資産が減ってしまいます。損失が出ても、誰かが責任をとってくれるわけではありません。自分でも投資について勉強をし、自己責任で始めましょう。
資産運用の種類など基本的な知識を身につけたい方は、次の記事も参照してみてください。
低リスクの運用方法を選ぶ
退職金を運用するときには、資産を大きく増やすことよりも、低リスクな運用で資産を減らさないことを意識する必要があります。
老後の生活資金が不足したら、資産を取り崩して生活しなければなりません。退職金の運用に失敗して資産が減った場合、生活費の赤字を埋められなくなってしまいます。
一般的には、大きなリターンが期待できる商品ほどリスクも大きくなります。退職金の運用は、ローリスク・ローリターンを心がけるのが失敗しないコツです。
まとめ

退職金は運用するのが賢い方法です。ただし、資産運用によりお金が減ってしまうと老後の生活に支障が出てしまいます。退職金を運用するときには、リスクを抑えることを意識しておきましょう。
投資のリスクを軽減するコツは、長期・積立・分散投資です。利益が出ても税金がかからないように、NISAの活用も検討しましょう。
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