【年収別】30代で子持ちの人の平均貯金額は?無理なく準備する方法も解説
30代で子持ちになると、毎月の生活費に加えて子どもの教育費を貯金したいと思う人も多いのではないでしょうか。コツさえ掴めば、何かとお金がかかる30代の子持ちの人も計画的に貯金ができます。今回は、公的なデータから見た30代子持ち世帯の平均貯金額を踏まえ、無理なく貯金する方法について解説します。
30代の子持ちの人の平均貯金額はいくら?
まずは、30代の子持ち世帯の平均貯金額を見ていきましょう。金融広報中央委員会のデータによると、平均貯蓄額は以下の通りです。
金融資産保有の有無 | 平均貯蓄額 |
金融資産保有世帯のみ | 856万円 |
金融資産を保有していない世帯を含む | 601万円 |
株や保険などの金融資産を保有している世帯の平均額のほうが、150万円以上高いことがわかります。
年収の高さに比例するのが一般的
30代の子持ち世帯に限らず、平均貯金額は年収の高さに比例するのが一般的です。夫婦ともに正社員で共働きであれば当然高くなり、どちらか一方もしくは両方が高度な資格・知識が必要とされる専門職に就いていればさらに年収が高くなります。
世帯年収が高いほど貯金額も増えるのが一般的ですが、さまざまな事情で世帯年収が高くても貯金がない世帯が一定数いるのも事実です。
ここで、先ほども使用した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」のデータを用いて、30代の世帯の年収ごとに、貯金がない(金融資産非保有)と答えた割合の内訳をご紹介します。
世帯収入 | 割合(%) |
収入はない | 75.0 |
300万円未満 | 42.9 |
300~500万円未満 | 29.9 |
500~750万円未満 | 22.8 |
750~1,000万円未満 | 13.6 |
1,000~1,200万円未満 | 21.7 |
1,200万円以上 | 7.5 |
年収が多くても支出が多い場合や、貯金しやすい工夫ができていないことなどが要因として挙げられます。
子持ち世帯の1割が貯金なし
30代の子持ち世帯の中でも、その1割が貯金なしという結果も出ています。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によれば、2022年では「児童のいる世帯」において「貯蓄がない」と回答した世帯は9.2%に達しました。
30代で収入が十分あっても、子持ちとなると教育費や子どもの生活費などで出費が必要になります。子どもの数が多いほど支出は増えるので、より計画的な貯金が必要になると考えておきましょう。
30代子持ち世帯は何のために貯金しておくべき?
貯金はあるに越したことはありませんが、何のために貯金すべきかを考えないとなかなか続きません。そこで、30代の子持ち世帯が貯金する目的として次の4点を解説します。
子どもの義務教育終了後の学費
高校や大学の学費など、子どもが義務教育終了後に必要になるお金を貯金する必要があります。
結婚し、早い段階で子持ち世帯になった場合、30代の終盤には子どもが高校や大学に進学することもあるでしょう。日本では中学校までが義務教育となっているため、それまでは比較的安い費用で学校に通えますが、高校以降はすべて自分たちで学費を賄うのが基本になります。
子どもが希望する将来の進路にもよりますが、ある程度の貯金がないと進学が厳しいのも事実です。参考までに、高校と大学について学費の平均値とその内訳をまとめました。
学校/区分 | 国立・公立 | 私立 |
高等学校(全日制) | 512,971 | 1,054,544 |
大学 | 817,800 | 1,365,281 |
30代の子持ち世帯なら、子どもが小さいうちから貯金すればこれらの学費を払うだけの貯金は十分可能でしょう。
マイホーム資金
マイホームを購入したいと考える30代の子持ち世帯も多いのではないでしょうか。30代の子持ち世帯が家を購入するなら、ある程度の額を貯金し、頭金として準備したうえで臨むのが賢い方法といえます。
持ち家を手に入れたい場合、理論上は「フルローン」といって頭金を払わずに住宅ローンを組めます。ただし、借入額が大きくなるので審査が厳しくなるうえに、毎月の支払いの負担を考えるとあまり好ましくはありません。
また、既に持ち家を手に入れているならある程度まとまった額を貯金し、繰上返済の準備をするのも負担を軽減する方法としては有効です。
老後資金
30代の子持ち世帯においては、やや優先順位は下がりますが、老後資金も早い段階から準備するのが望ましいです。
将来は年金受給額が減る可能性が高い以上、老後の生活の出費を賄うためにも、早いうちから長期積立投資により老後資金を準備しておくことには一定の意義があります。
ただし、あくまで無理のない範囲で取り組むことが重要です。NISAやiDeCoなど、毎月数千円から始められる老後資金の準備方法もあるので、老後資金を貯金する際は検討してみましょう。
生活防衛資金
30代で子持ちの人は、自分を含めた家族の誰かが病気になるなどの理由で、急にまとまった出費が必要になることが十分に考えられます。そのために貯金で確保しておきたいのが、生活防衛資金です。
生活防衛資金とは、緊急事態が発生した場合、当面の暮らしを維持するために必要とされる貯金のことです。具体的に必要な貯金額は個々の家庭によって異なりますが、一般的には毎月の生活費の3ヵ月~半年分程度を目安にしましょう。
30代の子持ち世帯の貯金モデルプラン
実際にいくら貯金すればよいのかは、個々の家庭の状況によって異なるため一概にはいえません。そこでここからは、子どもの高校・大学進学資金を貯めていくことを前提に、30代の子持ち世帯が無理なく取り組める貯金のモデルプランをご紹介します。
小学校入学まで
30代に限らず、子持ち世帯全体にいえる傾向として、子どもが小さいうちのほうがお金が貯めやすいことが挙げられます。特に3歳から5歳までは、幼稚園・保育園・こども園の利用料が無料になるなど公的制度が手厚いため、お金を貯めるならこの時期がチャンスです。
1つの目安として、30代の子持ち世帯の場合は、子どもが小学校に入学するまでに毎月3万円貯めることを目標にしましょう。6年間続ければ216万円貯まります。私立の中学受験を見据えているなら、毎月5万円など金額を増やしておくと安心です。
小学校入学~中学校卒業まで
子どもが小学校に入学する頃になると、徐々にお金がかかり始めます。そのため、貯金額も毎月2万円など、少し減らしたほうが家計の負担にはなりません。ただし、私立中学や私立高校への進学を考えているなら、子どもが小学校に入学する前の貯金水準をキープしましょう。
なお、毎月2万円の貯金を小学校入学から中学校卒業までの9年間続けた場合、単純計算で216万円貯められます。
高校入学~卒業まで
高校に入学したら、中学卒業までに貯めてきた貯金のうち、高校の学費として使う部分をとりわけ、大学進学のために足りない部分を蓄えていきましょう。
なお、2024年12月からは高校生でも毎月1万円の児童手当がもらえるようになるので、それを3年間貯金すれば36万円になります。
また、高校の場合、公立と私立で学費がかなり異なるので要注意です。例えば、栃木県の県立高校(全日制)の場合、入学料・入学考査料・3年間の授業料の合計は364,250円(2024年度の場合)です。
実際は他にも生徒会費やPTA会費、修学旅行費、教材費、子どものお小遣いなどがかかるので、多めに見積もって高校3年間で100万円程度が必要になります。
仮に、中学卒業までの貯金(216万円)および高校3年間の児童手当(36万円)の合計が252万円とすると、ここから100万円を差し引いた152万円が大学進学費用に充てられる計算です。自宅外からの通学や私立大学への進学を希望するなら、さらに教育費に回せるよう貯金するのが望ましいでしょう。
30代子持ち世帯が無理なくお金を備えるおすすめの方法5つ
貯金をするためには目標を設定するだけでなく、無理なく続けられる方法を取り入れることが重要です。ここでは、30代で子持ちの人が貯金するために利用できる方法として、以下の5つを解説します。
①定期預金・積立預金
30代の子持ち世帯におすすめの貯金方法の一つ目は、定期預金や積立預金です。定期預金は一括でまとまった金額を預けるのに対し、積立預金は毎月など定期的に一定額を預けるという違いがあります。
積立預金を使うなら、給与口座から毎月一定額を送金する形で先取り貯金をしていくなど、自動的に貯金ができる仕組みを作っておくと、負担なく続けることが可能です。
②財形貯蓄
財形貯蓄も、30代で子持ちの人におすすめの貯蓄方法です。財形貯蓄とは、勤務先の給与や賞与から一定額を天引きすることで、自動的に貯金ができる制度を指します。
天引きになるため負担なく貯金ができるうえに、利子等に対する非課税措置や財形持家融資を利用できるというメリットもあります。
ただし、すべての企業が導入しているわけではないため、勤務先で導入されていないとそもそも利用できません。
③学資保険
高校や大学など、将来の進学費用に充てるために貯金したい場合は、学資保険の利用も選択肢の1つに加えましょう。
学資保険とは生命保険の一種で、所定の期間保険料を支払うと、大学入学などのタイミングで満期返戻金が受け取れます。また、契約者が死亡したり高度障害状態になったりした場合は、それ以降の保険料の支払いは求められません。
30代の子持ち世帯では、もしも配偶者が亡くなってしまった場合、子どもの将来の学費をどうするかも考えなければなりません学資保険は、リスクに備えつつ教育費を着実に貯められるという大きなメリットがあります。
ただし、保険商品によっては、支払った保険料の合計額より受け取れる満期返戻金が低い「元本割れ」を起こすことがある点に注意が必要です。
④NISA
子どもの大学進学資金など、ある程度まとまった金額をコツコツ貯めたいならNISAがおすすめです。
NISAとは少額投資非課税制度のことで、専用口座を通じて一定の金融商品を購入すると、運用益と売却益が非課税になります。
投資の1つであるため元本割れなどのリスクは付き物ですが、長期的な運用でリスクを軽減することは可能です。
リスクを回避しながら始めるためにも、まずはお近くの金融機関などに相談してみるのがおすすめです。足利銀行でもNISAを取り扱っているので、気になる方はぜひお問い合わせください。
足利銀行でNISA開設⑤iDeCo
30代で子持ちの人が老後資金を貯めるなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)がおすすめです。毎月一定額の掛金を拠出して運用し、60歳以降になったら年金もしくは一時金、または両方を併用する形で受け取ります。
毎月少額を積み立てる形になるので、着実に老後資金を貯金できるのがメリットです。ただし、60歳になるまで原則として引き出せないため、子どもの進学費用ではなく老後資金を準備する方法として選びましょう。
30代の子持ち世帯が計画的に貯金するためのコツ
貯金は、ただ何となく取り組んでいてもなかなかうまくいきません。そこで、30代の子持ち世帯が計画的に貯金するために取り入れて欲しいコツとして、以下の4つを解説します。
毎月の収支を見直す
30代の子持ち世帯が計画的に貯金するために取り入れて欲しいコツの1つ目は、毎月の収支を見直すことです。まずは家計簿をつけるなどして、1ヵ月の収支を把握しましょう。その際、赤字になっていないか、極端に出費が多い項目がないかなどもチェックしてください。
家計簿のつけ方については、下記でも詳しく解説しています。
固定費の削減に励む
固定費の削減も、30代の子持ち世帯が計画的に貯金するためのコツの1つです。保険料やスマホ代、電気やガスなどの光熱費は、契約を見直せば大幅に毎月の出費を減らせます。
収入を増やす
30代の子持ちの人が計画的に貯金をするためには、収入を増やすことも大切です。収入が増えれば、その分貯金に回す金額も増やせます。収入を増やす具体的な方法としては、以下のものが挙げられます。
- 副業をする
- 社内での昇進試験に挑戦する
- 資格を取得し手当を付けてもらう
- 転職する
ご家庭のライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で取り組みましょう。
ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談する
30代で子持ちの人が家計の改善や貯金に取り組んでも成果が出ない場合は、ファイナンシャルプランナーや金融機関などのプロに相談することも検討してみてください。
お金に詳しい専門家は、家族構成やこれから迎えるライフイベントに合わせて、家計管理の仕方や教育資金の準備の仕方についてアドバイスしてくれます。
相談する場合は、あらかじめ貯金の目標額や子どもの進学予定など必要な情報を洗い出しておくとスムーズに進められます。
まとめ
30代で子持ちの人は、子どもの将来の学費を貯めつつ住宅ローンの返済もするなど、何かとお金がかかります。とはいえ、やり方次第では十分に貯金はできます。
まずは無理のない範囲で貯金に取り組み、計画的な家計管理を目指しましょう。
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