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【地域別】お雑煮の違いを解説!味付けや餅などの特徴を知っておこう

【地域別】お雑煮の違いを解説!味付けや餅などの特徴を知っておこう

お正月の定番料理の一つである「お雑煮」ですが、実は地域によってさまざまな個性があるのをご存知ですか?お雑煮の味付けや具材を見ることで、その地域の魅力をより深く知ることができます。本記事では地域によるお雑煮の違いについて、歴史を踏まえて解説します。

2025年9月29日 ちいき

お雑煮の歴史

お雑煮とお箸

現代でこそお雑煮はお正月に食べる料理として、関東・関西を問わずさまざまな地域で定着していますが、なぜ地域によって特徴に違いが出てきたのでしょうか。地域ごとの具体的な違いに触れる前に、まずはお雑煮の歴史について解説します。

お雑煮は平安時代から親しまれてきた「ハレの日の料理」

お雑煮の起源は諸説ありますが、平安時代ごろには上流階級に広まり、江戸時代には庶民の間でも広まったといわれています。

農耕民族である日本人にとって米は貴重なものであり、餅はお祝いなどの特別な日(ハレの日)に各地域で食べられる神聖な食べ物とされてきました。なかでも正月では、その年が無事に過ごせたことの感謝を込めて歳神様へ餅などをお供えし、その地域の豊作・家族の健康を祈るという考え方が古くからあります。お供えした餅を後ほど皆で食べることで神様の加護を得られるとされており、この「神人共食」という儀礼がお雑煮のルーツとされています。

ちなみに、餅と一緒にさまざまな具材を煮混ぜた料理であることから「お雑煮」という名前がついた説があります。

地域によっては正月にお雑煮を食べない所もある

お雑煮は正月の定番料理として現代でも親しまれていますが、実は沖縄県をはじめとした正月にお雑煮を食べない地域もあります。

沖縄県での祝いの席では、餅の代わりに豚のモツを具材にした「中身汁」を食べます。中身汁は琉球王朝時代の沖縄において、王宮での食事や外交の際に使者をもてなす宮廷料理であり、格式の高い特別な料理としてお祝いの場でふるまわれていました。

今では沖縄県でもお雑煮を食べられるようになりましたが、現在でも古くからの考え方に沿ってお雑煮を食べない家庭もあります。

地域でお雑煮の特徴に違いがある理由は「特産品」

地域によってお雑煮の特徴に違いがあるのは、その地域によって特産品が異なるからです。お雑煮に使われる具材には、その地域にゆかりのある食材が使われることが一般的です。例えば岐阜県の飛騨地方では江戸時代の頃から飛騨街道を越えて、富山県のブリが長野県まで運ばれていました。そのため、年越しの縁起物としてブリがお雑煮の具材として使われています。

山間部であれば山菜やキノコなどの山の幸、海に近いなら魚介類といったようにそれぞれの土地ならではの食材が入っていることが多いため、お雑煮の具材から各地域の魅力の違いに触れられるでしょう。

各地域におけるお雑煮の3つの違い

海老の入ったお雑煮

今やお雑煮は全国的に食べられている料理ではありますが、関東と関西で特徴の傾向に違いがあります。ここからは、各地域におけるお雑煮の3つの違いについて紹介します。

違い①餅の形・調理方法

関東と関西では、お雑煮に使う餅の形や調理方法に違いがあります。餅の形の違いは地域の当時の風潮や文化などが反映されており、調理方法は餅の形の特徴に合わせたものが採用されています。

関東・東海の地域では角餅(切り餅)

お雑煮が一般的になった江戸時代では、現在の東京にあたる江戸の街に人が集まっていたため、効率的に大量の餅を作るために角餅(切り餅)が使われていました。調理方法については関東では餅を焼きますが、切り餅はお雑煮に使った際に断面から餅が溶け出してしまうことが理由とされています。

ちなみに餅の白色が「城」と同じ音であることから「城が焼ける」ことを避けるため、東海地方の一部地域については、古くから験担ぎとして切り餅を煮てお雑煮にしていたという特徴もあります。

関西の地域では丸餅

関東とは違い、関西ではお雑煮が広まった平安時代の頃から丸餅が使われています。丸い形が家庭の円満の象徴とされたこともあり、現代でもお雑煮に丸餅が使われることが一般的です。餅を焼く関東とは違い、関西では餅を煮てからお雑煮を作ります。丸餅はそのまま煮ても溶けないので、焼く必要がないとされています。

違い②味付け

お雑煮の汁の味付けも、地域によって違いがあります。一般的には昆布やかつおの出汁をベースに、醤油などを加えたあっさりとした味付けの「すまし汁」が多く取り入れられています。同じすまし汁でも地域によって出汁の種類に違いがあり、あごだしやするめなどを使う地域もあります。

しかし、近畿地方では味噌ベースの味付けで、主に白味噌を使うという違いがあります。また、北陸や山陰地方の一部では小豆を使った汁が使われるのが特徴です。ちなみに関東はかつて武家文化が栄えていたことから、失敗することを意味する「味噌をつける」という言葉を連想させるとして、お雑煮には味噌を使わず醤油ベースの味付けになったという説があります。

違い③具材

餅以外の具材については地域ごとの違いが大きいですが、一般的に関東ではにんじんや大根などを使い、具材は控えめにする傾向にあります。鶏肉を使う地域も多く、お雑煮にはその地域の地鶏が使われることも少なくありません。対して関西では雑煮大根という細い大根や金時にんじん、里芋などを加えて華やかに見せるという違いがあります。

各地域の違いを楽しめる珍しいお雑煮一覧

お雑煮とお汁粉

地域によって多彩な違いがあるお雑煮ですが、一部の地域では一般的なお雑煮のイメージとは違い、具材や味付けがユニークなものもあります。ここからは、各地域の違いを楽しめるユニークなお雑煮について紹介します。それぞれの特徴の違いも解説しますので、ぜひ自分の地域のお雑煮との違いを比較してみてください。

鶏ガラ雑煮(北海道)

北海道は明治時代に移住者がお雑煮の文化を持ち込んだとされ、地域や家庭によって味付けに違いがあります。なかでも特にユニークなお雑煮の一つが「鶏ガラ雑煮」です。名前のとおり鶏ガラの出汁をベースとしており、砂糖で味付けしていることからやさしい甘さがあります。

具材には鶏肉や大根、にんじんに加えて「つと」を入れるのが一般的です。「つと」はなるとに似た食品ですが、製造方法に違いがあります。なるとが茹でかまぼこであるのに対し、つとは蒸して作られており食感が少し違います。

くじら雑煮(青森県)

青森県のうち、八戸市を中心に作られているお雑煮が「くじら雑煮」です。八戸市は捕鯨基地があった地域であるためくじらの食文化もあり、お雑煮にも野菜と一緒にくじらの皮を入れることが一般的です。大きな体のくじらにあやかり「新年は大物になれますように」という願いが込められています。

見た目は一般的な醤油ベースのすまし汁と似ていますが、くじらが入ることでコクのある風味になっています。

くるみ雑煮(岩手県)

岩手県の三陸海岸北部を中心に親しまれているお雑煮が「くるみ雑煮」です。一般的なお雑煮とは違い、汁物と一緒に「くるみだれ」というタレを用意します。くるみだれは名前のとおりくるみを使ったペーストのことで、お雑煮の餅をつけて食べるのが一般的です。

具材はにんじんや大根、凍り豆腐などを使うことが多いですが、家庭によってはイクラやあわびなどの海産物を加える場合もあります。汁と一緒に食べたり、くるみだれに絡めて食べたりなど、1つの料理で2つの食べ方が楽しめるユニークなお雑煮です。

白和え雑煮(茨城県)

茨城県の広い地域で作られる「白和え雑煮(豆腐雑煮)」は一般的な関東のお雑煮とは大きく違い、汁が真っ白なのが特徴です。汁が白い理由はペースト状にした豆腐と白味噌を昆布出汁に加えているためで、とろみのある滑らかな舌触りとクリーミーでやさしい甘みがあります。具材は切り餅のみという点も大きな違いで、シンプルながらも見た目のインパクトのあるお雑煮です。

きなこ雑煮(奈良県)

奈良県は近畿地方の一般的なお雑煮のスタイルとは違い、お雑煮にきな粉を添える「きなこ雑煮」が親しまれています。白味噌ベースの汁に入った餅を取り出し、きな粉に付けて食べます。きな粉を付ける理由は諸説ありますが、奈良県は海から離れている地域であるため、貴重なたんぱく質であるきな粉が添えられるようになったという説があります。

また、きな粉の黄色が豊作を意味するとされ、新年の豊作を祈願してお雑煮と一緒にきな粉が食べられるようになったともいわれています。岩手県のくるみ雑煮と同様に、1つでさまざまな楽しみ方ができるユニークなお雑煮です。

小豆雑煮(鳥取県)

鳥取県をはじめとした山陰地方の地域では「小豆雑煮」が一般的に食べられています。作り方自体はぜんざいやおしること同じですが、甘さが控えめに作られているという点が違います。小豆が古くから邪気を払う食べ物とされているうえ、1つのさやから大量の豆が収穫できることから、小豆雑煮には子孫繁栄の願いも込められています。

ちなみに、島根県の一部地域では元旦にすまし汁のお雑煮を食べ、正月の2日目から小豆雑煮を食べる習わしがあります。

うちがえ雑煮(徳島県)

徳島県三好市祖谷の伝統的なお雑煮である「うちがえ雑煮」は、一般的なお雑煮のイメージとは違い、餅の代わりに岩豆腐という硬くて大きな豆腐を入れます。祖谷の地域はかつて米が育ちにくい環境であったことに加え、昔は冷蔵庫もなく現代に比べて食材の保管が難しい時代でした。

そのため、岩豆腐は貴重なたんぱく質であり、水分が少ないことから日持ちしやすいとしてお雑煮などに使われました。ちなみに、器の中で重なるように乗せられた豆腐の見た目が武士が刀を打ち違えている様子に似ていることから、この名前が付いたとされています。

汁はいりこ出汁をベースに醤油で味付けをし、具材には岩豆腐の他に里芋を使うというのも一般的なお雑煮との違いです。里芋は1つの芋からたくさんの芽が出ることから「芽が出る(めでたい)」という語呂合わせで、お祝いの場に用いられています。

まとめ

味噌のお雑煮

お雑煮は地域ごとの食文化が大きく反映されている料理であり、使われている食材や味付けなどに細かな違いがあります。本記事で紹介した地域以外にもユニークなお雑煮が数多くあるため、ぜひさまざまな地域のお雑煮の違いを比べてみてください。

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